拝啓アマデウス様

モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」を昼も夜もなくさらっています。
古典派なのに、ドイツロマン派の趣も感じられるこの壮大なオペラ。
ただいま、非常に手こずっております。
子供の頃から、モーツァルトの音楽はいつも心のそばにありました。
天からの声や大自然そのもののように、とてつもなく偉大なものでありながら、すごくナチュラルに心身に入ってきました。
だけど今、私はおそらく初めて、あなたの音楽が遠いと感じています。
1787年、「ドン・ジョヴァンニ」を作曲した時、モーツァルトは今の私と同じ歳でした。
四年後、短すぎる生涯を終えることになるあなたは、
死を前にして、どんな気持ちでいたのでしょう?
何を見て、何を感じていたのですか?
同い年のモーツァルトの心の深淵…
私に与えられた時間はほんの僅かで、課題は果てしなく大きい。
31歳のアマデウスさま、どうか私のもとに降りてきて!