北関東にて世界と日本を知る

バレエ伴奏仕事で、初冬の北関東を回ってきました。
世界中のバレエ団において芸術監督を歴任された、アメリカ人の舞踊家と共に。
このお方、私なんぞがご一緒するのは申し訳ないくらいの、社会的地位の高いお方(日本の天皇から栄誉賞ももらっている!年齢は私の父と同い年)なのですが、豊かな感受性と情緒の持ち主で、懐が深く魅力的。ひたすら田園風景が広がる水戸線や常磐線に乗っていると、「日本の田舎の秋は本当に美しい」と、感激していらっしゃいました。
彼とお会いするのは二度目ですが、なんというかアメリカ人の匂いがしない方なんですよね。半生のほとんどを色んな国を転々として過ごしていらっしゃるからか(今は在台湾)、もはや、国のしばりがないのか「地球人」という印象を受けました。個性がないというわけではなく「地球人」。素敵です。
今回、彼と二人で移動する時間も長かったので、たくさんお喋りしました。
初めは、バレエや音楽の話が多かったのですが、そのうち、「黒人と白人のハーフであるオバマ氏は、なぜ黒人と言われるのか?」だの、「台湾は結局中国の一部なのか?」だの、話は飛躍して宇宙のことまで、WHY?を浴びせかける私。そして、終いには、英会話レッスン&日本語レッスンに。これがおもしろくて、盛り上がりました。
言葉って文化ですよね。
気候や風土、そして、そこに住む人の性格に密着に関わっている。
彼が言うに、「日本語にはアクセントや抑揚が少なく、感情が伝わりにくい。発音は易しいけれど、文法が難しく奥が深い。だけど、言葉の響きが美しくて優しい。これは、日本人ダンサーの個性に似ているね」と。…納得です。
日本語の音が「美しく聞こえる」というのは、嬉しい発見でしたね。
彼が気に入った言葉は、「つまようじ」。
恍惚とした表情で、何度もつぶやく姿が、たまらなくキュートでした(笑)
そうそう、日本語レッスンで気づいたことですが、
英語圏の人は、促音(小さい『っ』)の概念がないのですね。
「抹茶」や「ちょっと」などの促音入りの言葉を、「まちゃ」「ちょと」と発音するんです。
「Happy」も「ハッピー」ではなく、「ハピー」と発音しますね。
で、小さい「っ」の概念を、音楽の休符やスタッカートに例えて説明すると、とても興味深く聞いてくれました。 日本語の発音とリズムは、イタリア語に似ているね、と。
確かに、私、外国語の中では、一番イタリア語が喋りやすいのです。
ちなみに、抑揚に乏しい日本語の中で、関西弁はアクセントも抑揚もありますよー、と大阪弁を喋ってみたら、「ますますイタリア語に似ている」とおっしゃっていました。
そうか、関西人にネアカな人間が多いのは、イタリア気質に似ているからか(笑)
外から見た日本というのは、普段なかなか意識できないので、色々発見がありますね。
自分が当たり前に思っていることでも、所変われば常識も変わる。
外国人に日本のことを教わるって、意外と多いですよね。
数日間のツアーを経て、私の英語と彼の日本語がちょっぴり上達したのは収穫でしたw
そして、すっかり良き「オトモダチ」になった私たちw
来年の来日が、今から待ち遠しいです。
*余談
彼には「マジで?」などのイマドキ言葉も教えてしまいました(爆)
美しい日本語を愛するエレガントな彼が、今後いきなり「マジで?」などと口走ったら、
それは、私のせいです(笑)