【ご報告】憧れのウィーンへ

大変ご無沙汰してしまいました。皆様、お元気でいらっしゃいますか?
私が最後にブログを書いたのが、3月10日。その直後に、あの震災が起こり…、ショックで何も書けなくなってしまいました。あれから、短くも長い時が流れ、やがて季節が変わりました。震災を経て人生の価値観が大きく変化するなか、私も人生の大きな岐路を迎えることになりました。

ここにご報告させて頂きます。2011年9月より、ウィーン国立歌劇場バレエ団の専属ピアニスト(コレペティ)になることが決まり、来月渡欧することになりました。バレエの伴奏を始めて10年。近年では、海外の方とお仕事をご一緒する機会も増えてきて、その道を追究するに従い、本場ヨーロッパの劇場で経験を積みたいという気持ちが大きくなってきました。昨年夏頃から、いろんな方に相談にのって頂き、今年の冬、ヨーロッパ各地の劇場の門戸を叩く旅にでかけました。ドレスデン国立歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ウィーン国立歌劇場という、世界に名だたる素晴らしい劇場の現場でピアノを弾かせて頂き、なかでも、私が世界一好きな憧れの街ウィーンにて、素晴らしいご縁を頂きました。
ウィーンは、私が6歳の時、初めて訪れた外国の街。以来、ウィーンはごく近しい存在として、私の心の中に在り続けていました。しかし、心は近くとも、その後ずっとご縁がなくて。去年の春、ようやくウィーンを再訪する機会に恵まれました。そこで私が感じたインスピレーションは強烈でした。他にたくさんの外国の街を訪れてきたけれど、ウィーンは別格でした。ここに住みたい、と。ウィーンで音楽と共に生きていきたい、と。その気持ちは、憧れというよりは、どこか予感めいたものでした。それから一年がたち。ひとつひとつの出来事が、全てはウィーンへの道に繋がっていたような気がしています。冬に国立歌劇場で素晴らしい方々に出逢い、偶然オーディションの機会に恵まれて、それ以来密かに、携帯の待ち受けを国立歌劇場の楽屋口の写真にしていました。世界一憧れの扉です。

 

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言葉も満足に喋れず、仕事の経験も浅い私なので、ものすごい困難が待ち受けていることは、想像に難くないし、今いる場所と大好きな方々の元を去ることは、寂しくて仕方ないのですが。頂いたご縁に感謝し、憧れの街に住み、憧れの劇場で働ける幸をかみしめながら、精一杯、ウィーンで頑張ってこようと思います。これからもどうぞよろしくお願い致します。

2011年7月

滝澤志野