モーツァルトピアノ協奏曲を弾く

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私が幼い頃から一番好きだったピアノ協奏曲が、世にも美しいバレエ作品になり。客席で何度も観た作品。その作品を演奏する幸を頂きました。今夜、国立歌劇場のヌレエフガラで、マニュエル・ルグリとイザベル・ゲランが踊る「ルパルク」を弾きます。5月の最初に、監督にこのお話を頂いて、以来、ル・パルクを弾くということが、小さな宝石のように私の心の中に在りました。

モーツァルトがこの曲を作曲したウィーンで、このオーケストラで、モーツァルトを弾けるなんて、ミラクルのような出来事だと思っています。ボスの踊る舞台で弾くのも初めてです。

モーツァルトのアダージョは、一音一音、嘘がつけない。カッコつけることもできない。ただ、この少ない音数、美しいメロディと和声に、素の自分、裸の自分が表れてしまう。何かを表現しようとして計算するのではなく、そぎ落とす。シンプルで正直な心の機微、音色を表現する。そんな演奏ができたら、と思います。

それでは、いってまいります。