くるみわり人形

10月7日にウィーン初演(プレミエ)を迎える、
ヌレエフ版「くるみわり人形」の舞台裏映像が届きました。
くるみわり史上最高難易度であろうヌレエフの振付に真剣勝負の毎日です。
ちなみに、私はくるみ全公演でオケピットでチェレスタを弾かせて頂くことに。
「氷の上を歩く」という金平糖の精。
あの、しんとした空気のなかでのソロは、大変なプレッシャーなのですが。
魔法をかけられたような、何とも言えない空気感を表現できるよう、
多くの人とその瞬間を分かち合えるよう、感謝して臨みます。
プレミエまであと一週間!
動画はこちら

フィンランド紀行その1 森と湖の国

フィンランドに降り立ち、空を見上げたら、その美しさに心を奪われた。
緯度が高いからなのか、雲が空の低いところにあって、いまにも手が届きそう。
「いい季節なので、是非フィンランドに、バレエ団も見にいらしてください」
そうおっしゃってくださった、フィンランド国立バレエ団プリンシパルの中川真樹さんにお会いしに、私は今年の夏旅をフィンランドに決めた。ウィーンからヘルシンキは飛行機で2時間半。時差は1時間ある。私にとって初北欧である。
北欧は、日本から一番近いヨーロッパ、でありながら、西欧ほどメジャーではなく、
どこか憧憬に近いものを抱かせる国々ではないだろうか。
今回は、真樹さんに案内してもらい、様々な面からフィンランドの魅力に迫ることができた。
フィンランド国立歌劇場のこと、大好きな映画「かもめ食堂」特集は、後に記すとして、
まずは、フィンランドの風景、印象を切り取ってみよう。
フィンランドといえば、森と湖の国、サウナ発祥の国、オーロラとサンタとムーミンの国。
ヘルシンキ中央駅に到着。雰囲気は、西欧よりもロシアに近い。
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ヘルシンキ大聖堂。
青空と白亜のコントラストが美しい。
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ヘルシンキの中心地はこじんまり小さく、健脚なら端から端まで歩けるほどの広さである。
また、トラムが街を縦横無尽に走っているため、不自由はしない。
街を歩いていると聞こえてくるフィンランド語が、可愛い。
こんにちは、は「ヘイ」、はい、は「ヨー」、さようなら、が「モイモイ」。
軽やかで可愛い響きとはうらはらに、フィンランド語は世界で二番目に難しい言語、と言われているそう。
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ちなみに、北欧の夏はやっぱり涼しい。晴れた昼間でも、20℃前後だったり。
半袖で街を歩くと少し寒いくらい。
しかし、こんな美しい良い季節はほんのわずかな時間で。
半年以上は太陽がほとんどあたらない、暗い空の下で生活するため、
鬱病、アルコール中毒患者が多く、社会問題なのだとか…。
しかし、厳しい自然と共存する過程で確立されてきたのであろう、豊かに生活する智恵は、
フィンランドの生活水準、教育水準を高いものにしているのも事実。
たとえばデザイン。
自由でモダンで大胆なデザインは北欧ならではのもの。
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アラビア美術館にて。
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マリメッコにて。
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マリメッコは世界中で愛されているブランドだが、
国内消費が70%を占めているという。
実際、マリメッコの洋服、かばんを持っている人をたくさん見かけた。まさに国民的ブランド。
ちなみに、物価は高い。
オーストリアと比べると、1、2倍~1、5倍に感じる。日本よりも少し高め。
真樹さんのお話を聞いていると、ヘルシンキの家賃はきっとウィーンの倍以上だ。
でもきっと、平均年収も随分違うと思う。ウィーンを基準にしてはいけない(笑)
そして、一番素晴らしかったのが、やはり自然。
フィンランドには国民の数だけ湖がある、と言われているそう。
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そこにいるだけで、心が穏やかになっていくような、この空気感。
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夜が更けても、なお空は明るい北欧の白夜。
心がしんとする風景。
そして、こちらが日本が誇る北欧の舞姫、
フィンランド国立バレエプリンシパルの、中川真樹さん。
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フィンランドの空気感のように、穏やかで芯の強さを感じさせる、美しい女性。
オペラハウスを案内してくださった後、夜が更けるまでワイン片手に色々語りました。
真樹さん、夏のバカンスを終え、前日に日本からヘルシンキに戻っていらしたばかりだいうことで、
きっと時差ぼけもあっただろうに、三日間快くおつきあいくださってどうもありがとう。
たくさん語れて嬉しかった。
真樹さんとお別れして見上げた空には満月が。
白夜に輝く、白銀の月。
忘れられない風景。
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ゆっくりと、北欧の夜は暮れていく…
さて、次回は、真樹さんの所属するフィンランド国立歌劇場のことを書きます。