10月7日にウィーン初演(プレミエ)を迎える、
ヌレエフ版「くるみわり人形」の舞台裏映像が届きました。
くるみわり史上最高難易度であろうヌレエフの振付に真剣勝負の毎日です。
ちなみに、私はくるみ全公演でオケピットでチェレスタを弾かせて頂くことに。
「氷の上を歩く」という金平糖の精。
あの、しんとした空気のなかでのソロは、大変なプレッシャーなのですが。
魔法をかけられたような、何とも言えない空気感を表現できるよう、
多くの人とその瞬間を分かち合えるよう、感謝して臨みます。
プレミエまであと一週間!
動画はこちら
シルヴィギエム"6000マイルの彼方"
シルヴィギエムがオーストリアにやってきた。
数ヶ月前からこの日を楽しみに楽しみにしてきました。
ウィーンから電車で1時間の、StPöltenという小さな街で、彼女は踊りました。
踊っているあいだ、青白い光を発していた彼女は、
人間ではない何か、、
静かで強いエネルギーのかたまり、のようで。
あんなに強いのに、柔らかで周りと調和していて、息も乱れない。
彼女にダンサーという言葉は相応しくない気がする。
アーティスト? その言葉すら彼女の前では霞んで聞こえる。
6000マイルの彼方…日本の震災への彼女の想い。
ギエムと同じ時代に生き、ここオーストリアで、友人、同僚たち、たくさんの人とあの時間を分かちあえた奇跡に感謝したい。
新国立劇場バレエ団
7年間働かせて頂いた、新国立劇場バレエ団のことを書こうと思います。
1997年、日本初のオペラハウスとして開場した新国立劇場は、私の憧れでした。
当時、学生だった私は、天井桟敷席の当日券Z席のチケットを取るため、
朝7時頃から劇場に行き、たびたび並んだものでした。
私にオペラとバレエの楽しさを教えてくれた、新国立劇場。
特に99年、吉田都さん主演のバレエ「シンデレラ」を観てからは、
新国立劇場バレエ団のピアニストになるのが、私の夢となり。
夢のまた夢に追いつこうと、バレエピアニストとしての経験をあちこちで積ませて頂きました。
バレエピアニストとして働き始めて五年がたち。
そろそろ小さな自信がついてきた私は、新国立劇場に電話をかけました
代表に電話して、制作部舞踊に繋いで頂いて。
「バレエ団でピアノを弾かせてください」と単刀直入に申しでました。
音楽の仕事というのは、あまり自分で営業するものではなく、
人脈で回っていくものだったりするのですが、
私は毎度ながら、ダメもとで自分で門戸をたたいてしまうのです(笑)
その時、電話に出られた制作部の方は、(驚くことに)私を快く受け入れてくれました。
履歴書をFAXすると、「来週弾きにきてください」と!
そして、私は初めて、あの憧れの新国立劇場バレエ団でピアノを弾くことになったのです!!
しかも、それは奇しくも私の誕生日当日のことでした。
新国の憧れのダンサー達が私のピアノで踊ってる!
あの時の羽の生えたような気持ち、胸の高鳴り、感動は今でも忘れられません。
それから、ちょくちょく代理ピアニストとして劇場に呼んで頂き、やがてレギュラーにしてもらい。
クラスもリハーサルも任せてもらえるようになり。
あげく、劇場の近くに引っ越して、暇さえあれば劇場に仕事&練習しにいくようになり(笑)
大好きな大好きな劇場で、素晴らしい経験をたくさん積ませて頂きました。
尊敬するお二人の監督、牧阿佐美さん、デビッドビントレーのもとで仕事ができたこと、
お二人の作品に関われたこと。
99年、初めて観た、あのシンデレラ公演にピアニストとして携われたこと。
そして、尊敬するピアニストの先輩に出逢えたこと。
なんでもできる、マルチな天才肌、江藤勝己さん(写真中央)。
全てにおいてハイセンスで、賢く優しい蛭崎あゆみさん(右)
短い間だったけど、蜜月を過ごした宮崎あかねさん、
そして、私が昔から憧れていた米田ゆりさんは、
ウィーンの劇場来シーズンの演目の資料と、心のこもったお手紙もくださいました。
皆さん、本当に素晴らしいピアニストで、心から尊敬していましたし、
右も左も分かっていない私を、いつも優しく助けてくださいました。
そして、もちろんダンサーの皆さんとの時間は、素晴らしいものでした。
たくさんのインスピレーションを頂いたし、音楽と踊りで会話できることは幸せでした。
「志野さんは、新国が大好きですもんね!たくさん弾きにきてくださいね」と
笑顔で急な仕事も振ってくださる制作の方(いつも嬉しかった!笑)
夜遅くの練習でお世話になっていた、リハーサル室事務の方々、
素晴らしいミストレスの先生方、
…と延々と暑苦しく語れるほど、私は新国立劇場を愛していました(笑)
今、大好きな劇場を後にすることは寂しいのですが、
実は、来シーズンの契約も更新して頂きました!
ウィーンの仕事がオフシーズンである、7月8月には日本に帰国して、
また新国立劇場で弾かせて頂けることになりそうです!
少しはピアニストとして成長できているよう、がんばらなくちゃ。
ありがとう、新国立劇場。また会う日まで、さようなら。
劇場のますますの発展をお祈りしています。
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