先日、私の友人と劇場の仕事仲間の結婚式に呼んで頂きました。
ウィーンの結婚式は平日昼間、区役所でおこなわれます。お式でピアノを弾くことになっていた私は、仕事を早退して会場へ向かいました。
ウィーンの区役所婚に参列するのは、私にとってはこれが二度め(一度目は今年春の同性婚!)でした。区役所と言えど、堅苦しい空気はなく、和気あいあいとした柔らかな雰囲気。新郎新婦も私も、式次第が分からぬままお式に突入したので、どのタイミングで何を弾いたらよいのか…ほとんどアドリブの世界笑。こういうのもウィーン気質といってさしつかえないと思います(笑)
つつがなく結婚式は終わり、私たちはそのままウィーンの森へ向かいました。
披露宴会場は、ぶどう畑の中にあるホイリゲ。ウィーンはワインの名産地で、街中から車で20分も走ると、こんなぶどう畑が広がっているところが、私がウィーンを愛している理由のひとつでもあります。
先週も日本から来てくれた友人とぶどう畑で寝転りながらワインを飲んだばかりなのですが、この日の披露宴会場は、初めて訪れるお店。お店に入った途端、私は驚いてしまいました。実は昔、日本の雑誌(PenだったかなCreaTravellerだったかな)にウィーン特集が組まれていて、一枚のホイリゲの写真に魅了されたのです。ウィーンに住むことになり、ずっとそこに行きたいと願っていたのですが、お店の名前が分からず、幻のお店に辿り着くことができず。この日、パーティー会場に着いて、ここが雑誌に載っていたところだとすぐ解りました。感動です!
右も左もぶどう畑、そして前方にはドナウ川、隣国スロヴァキアまでが見晴らせるという素晴らしい眺望のホイリゲです。
とても暑い日だったので、お水のようにスパークリングワインごくごく!
彼のご両親がご結婚された時と同じ、コウノトリの巣をモチーフにしたウェディングケーキを再現。
私はそんなにスイーツラバーではなく(飲兵衛なので辛党です笑)、特にウィーンのお菓子は甘過ぎる!と思っているのですが、このくるみのケーキ、本当に美味しかった。甘いー太るーと言いながら、皆で夢中で食べました。
パーティーが始まって数時間たった頃、「さらわれた花嫁」というオーストリアの結婚式の伝統的な寸劇をするため、新婦の友人だけで別のホイリゲへ向かいます。これは私にとって初体験で、むしろ私たちが新婦にさらわれてミステリーツアーに参加しているようでありました。
酔っぱらった身体でドナウ川方面への急坂を下るの、かなりきつい!!
はっ!この為に「スニーカーを持って来てね」と言われていたのか〜。ホイリゲの山道くらいなら街歩きの靴で大丈夫、と思っていた私は甘かった!この際、ぶどう畑を転がって降りたいわ、と酔った頭で考えます。
やがてたどり着いたのは、こちらも眺望の素敵なカジュアルなホイリゲ。
ここでひとしきり、新婦のご友人とまったり語ります。皆様、日本からいらしていて、私は全員と初対面だったのですが、仲良くしてくださり、意気投合して笑い過ぎてこの一日で腹筋筋肉痛。皆さんの優しさおもしろさに感動です。
その後、またメイン会場に戻り、暮れゆくぶどう畑を眺めながらおしゃべり。
パーティーは深夜まで続きました。この日は満月。光り輝くパワフルな月も私たちを祝福してくれていましたよ。
新郎と私は、私が劇場で働き始めた年からの職場のおつきあいですが、彼の口から彼女の名前が初めてでた時、私はお二人が相思相愛だと知らなかったけれど、お似合いだな〜と思ったのを覚えています。だから、この佳き日を迎えられたことが嬉しくて。優しくて才能溢れる彼と聡明で美しく優しい彼女。お似合いのカップルは周りを幸福にしますね。
ご家族と仲良しのご友人と、ワイン自慢のホイリゲのお庭で、家庭料理をひとつのテーブルで分け合って食べて。アットホームで、自然の恵みに抱かれたウェディングパーティー。結婚式に豪華さは要らない。義理の人間関係も要らない。ただ、愛と幸福がそこにあって、皆が笑顔でいるだけでいい。この先ずっとこの幸福が続いていくことを皆で願う。これぞ私の理想の結婚式だな、と感動しっぱなしの一日で、まるで天国にいるみたいでした。彼女がウィーンに嫁いでこられたことも、この日生まれた素敵なご縁にも本当に感謝です。お二人の末永いお幸せをお祈りしています。