芸術という架け橋

日本公演開幕から4日。
私の新天地ウィーンのカンパニーと故郷日本が、芸術という美しい架け橋で繋がる瞬間に出逢うことができ。
世界はワンネスであることを改めて感じています。
劇場には、たくさんのバレエ仲間、旧友たちが観に来てくれて、私は出演者でもないのに、ホテルの部屋は皆さんからのお花、プレゼントで溢れています。
愛いっぱい、ありがとうございます。
伸びやかでなんでも踊りこなす柔軟さを持った美男美女揃いのカンパニー。
明日はいよいよBプロ「こうもり」の開幕です☆

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火の鳥〜生命讃歌

久々にウィーン交響楽団を聴きに楽友協会へ。
旅行でウィーンを訪れていた頃は、いろいろコンサートに出かけたけど、
こちらに住むようになってからは、歌劇場以外の公演に行く余裕はほとんどなくなり。
ウィーンフィルジルベスターコンサート以来、ほぼ4ヶ月ぶり…。
指揮はフィリップヨルダン。
前半のブラームスピアノコンチェルトがつまらなくて、途中で帰りたくなったのだけど、
後半の「火の鳥」でオケが別人のように化けた!!
あんな名演、爆演は、なかなか聴けるものじゃない。
冒頭から凄い集中力だったけど、「カスチェイの手下の踊り」の辺りから、
明らかに何かが降り注いでいた。取り憑いていた。
身も心も委ねながら、音楽って一体なんだろう、と考えた。
ここまで人を魅了し、それでいてとてもプリミティブなもの。
きっと、音楽は「エネルギー」そのものなんだと思う。
大きな魚になって、悠々と海の中を泳いでいる。
曲を聴きながら、そんな感覚に陥った。
「火の鳥」を聴きながら、海の中にいるというのも何か可笑しいけれど、
太陽の光が注ぎ込んで、水がキラキラ輝いている様だとか、
刻々と変わる青の色合いだとか、
背びれ、尾ひれを巧みに使いながら、水をきる心地よさだとか、
とてもとても豊かで不思議な感覚を味わった。
魚である自分が誇らしくて、全てが眩しくて。
そして、それは生命讃歌に思えた。
「火の鳥」は生命讃歌なのかもしれない。
生きとし生けるすべてのものへの讃歌。大きなエネルギー。
すごいね、音楽って。芸術ってすごいね。
日常的に、ウィーン国立歌劇場管弦楽団を聴き、共に演奏し、日々育てられている私だけれど、
このような奇跡が起こることって、滅多にない。
(前日は「薔薇の騎士」を観たのだけど、つまらなくて途中で帰ったし…)
でも。奇跡は偶然に生まれるものではない。
真摯に向き合ってこそ、生まれるのだと思う。
なぜなら、やっぱりそこに「エネルギー」が発生しているから。
エネルギーをかけたものからしか返ってこない。
これは真実だと思う。
今日の演奏を忘れず、魚になって海を泳いだあの感覚を忘れず、
大きなエネルギーを生命讃歌を奏でられる人間になりたいと思う。
真摯に。真摯に。
火の鳥、もう一度全曲弾きたいな。
いつかウィーンバレエでも、火の鳥が上演されることを願いつつ。

ぶっつけ本番

久しぶりに、劇場でのお仕事報告を。
ノイマイヤー振付「バッハ組曲」公演にて、チェンバロを弾いています。

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さて、題名の「ぶっつけ本番」。そんなことがあるのですよ、ウィーン国立歌劇場では(笑)
指揮者Simon Hawett氏は、この劇場に初登場なのですが、
この演目は去年プレミエを迎えたレパートリー作品であるということで、今回はオーケストラリハーサルなしでの、ぶっつけ本番。。
オケピでマエストロとオケがはじめまして、という事態が発生していました。
新入りの私にとってはもちろんお初演目なので、心配ばかり膨らんでいました。
そして昨日迎えた初日。
当日の朝、マエストロが「大いなるアドベンチャーを楽しもうね。チェンバロは自由に弾いていいよ」と声をかけてくれて、気持ちが少しやわらいで。
本番では、すべてがスムーズでイージーで楽しくて。
音楽が清らかな水のように流れていて、その流れに乗っていることがとても心地よくて。
舞台の上では、いつもの仲間が踊っていて。
瞬間瞬間、周りと調和し、共有できるって、とても豊かで幸せなこと。
キーワードは、「信頼」だと感じました。
信頼して安心して委ねられる関係があるのは、素晴らしいことですね。
若きマエストロと素晴らしいオーケストラに感謝と祝福を。
初日後、マエストロたちと打ち上げに。
普段はあまり本番後に飲みにいったりはしないのだけど、
リハーサルなしで本番を弾くという異業を成し遂げた今回は特別!笑

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こちらの美しい女性、ストラヴィンスキー「ピアノとオーケストラの為のカプリチオ」のソロを弾いたローリー。愛する同僚です。
毎日いろんな経験(アドベンチャー含む笑)を通して、たくさんのことを学んでいます。
成長する為、感動する為に生まれてきたのかな…
なんて思う私はきっと幸せ者ですね。
ノイマイヤー、サープ、バランシン、フォーサイス、というキラ星の振付家による競演、
今シーズンはあと五回上演しますよ。
明日も朝からリハーサル、そして夜は公演なので、体力温存!早めに寝ます。