雨のち晴れ

イギリスの空は大抵どんよりと曇っています。
しかし雨のたびに落ち込んでいたのでは精神状態が持ちません(笑)
イギリス人は傘もささず「これはレインではなくシャワーだ」といい、
むしろ雨をも楽しんでいるように見えました。
しかしやはり青空は格別美しいものです。
絵に描いたような真っ白の雲と青空、とても印象深いです。
こころの音色
セントメアリー教会の塔からのオックスフォードの風景。

こころの音色

自宅屋根から見える夕焼け。日没は21時過ぎだったので、私は夕飯を終えてから、

ハシゴで屋根の上に登り、夕焼けを見るのが日課になっていました(それもほろ酔いでねw)

初日は足がすくんで上まで行けなかったけれど、慣れたら余裕でした♪
こころの音色

これはオックスフォード大学生の試験最終日の様子。

この日、彼らはマントを着て花を胸に飾り、つまり正装をして試験に臨むのが伝統となっているそうです。

正装は卒業式の日では?と思うのですが、結果は別物。
死に物狂いで勉強しないと卒業できないこちらのカレッジでは、

学問に対してやれるだけのことをやったという自負を、正装にて表すそうです。
(試験が終わると、恋人が花束を持って迎えに来るのだそうですよ)
確かに皆試験勉強はしているものの、清々しい顔つきをしていますよね!
学問を探究する人というのは、なんと美しく見えるのでしょうね。
(私の試験最終日なんて、常にボロボロだった気がするのだけれど)

青き春の風景

英国旅日記17日目
先週、近所のテムズ川でオックスフォード大学カレッジ対抗ボート試合がありました。
予選~決勝まで4日間、テムズ川は大学生で大賑わいでした。

こころの音色
ボートという競技はなんだか青春の香りがしませんか?
私は学生時代、ボート部の人とおつきあいしていて、よく試合を見に行っていました。
だから、この風景は私にとっての青春の風景でもあるのです。
こころの音色
日本もイギリスも艇庫の雰囲気は同じ。
こころの音色
んー懐かしい!あのときのボート部のみんな、どうしてるかな?
突然話は変わりますが、明日から5日間、フランスとスイスに行くことになりました。
パリに連れて行ってほしい、と前からお願いしていたのですが、
「パリはいつか、好きな人と一緒に行きなさい」と言われ(・∀・)
スイスのジュネーブ・ローザンヌ~フランスのシャモニまで、アルプスのモンブランを見に行くことに。
見るといっても標高4000m近くまでロープウェイで行って歩くので、割と本格的な登山。
急遽登山服・靴を買い揃えました(もちろんすべて子供用w)。
私の両親は山登りの達人なのですが、問題はこの軟弱な娘。
そんなところまでついて行って大丈夫なのでしょうか!?
思い描いているのはハイジの世界なのですが、それどころじゃない!?
どうか無事を祈っていてくださいね~

ロイヤルオペラ「ペレアスとメリザンド」

英国旅日記 16日目
念願叶い、ロイヤルオペラ「ペレアスとメリザンド」を観にいくことに。
朝6時半にオックスフォードを出て、当日券をとるためにロンドンのロイヤルオペラハウスへ。
この日は単独行動だったので、ちょっとした冒険気分。
こころの音色
10時に当日券をなんとか入手し、心をときめかせながら夜になるのを待ちます。なんだか好きな人とデートする前の気持ちに似ている(笑)
私は数年前、このドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」のコレペティ・稽古ピアニストとして公演に関わったことがあります。輝くばかりの美しさに満ち溢れた音楽に魅せられつつも、その精緻なオーケストレーションをピアノで表現することにとても苦労をした思い出を持っています。(ドビュッシーの「水の反映」あたりのピアノ曲が3時間半続くといえばその大変さを分かってもらえるでしょうか?)人生最大の壁だったように思います。
そんな濃い思い出を持つオペラに、イギリスで再会を果たすことになるとは。人生って分からないものですね。
こころの音色
今をときめくサイモンラトル指揮、そして新演出ということで劇場は満席。
いよいよ開演。音楽が流れ始めた瞬間、目に涙が溢れ、止まらなくなってしまいました。
音楽の美しさ、過去の辛い経験、その時お世話になった方々への感謝の気持ち、
そして今ここにいられることの幸せ、いろんな気持ちがいっぺんにあふれ出してぐるぐるに。
音楽のもつ力のなせるわざでしょうか。
しばらく涙を流しつつも、次第にオペラに引き込まれていきました。
音楽の水準はものすごく高い。さすがはロイヤルです。
演出は超現代演出で、シーンが変わるごとに客席から感嘆の声が。
このオペラの戯曲はメーテルリンク(「青い鳥」の著者)によって書かれていて、
歌詞のひとつひとつにとても深みがあるのです。
私は日本語訳の歌詞が頭に入っているので、フランス語を日本語に同時通訳、
ついでに英語の字幕を読み、頭の中に三ヶ国語がとびかうという稀有な体験をしました(笑)
おもしろい発見もいろいろありましたね。
森の中に深い水がたたえられ、空には星が光り、ペレアスとメリザンドがどうしようもなく惹かれあい、
ゴローは激情の果てに絶望し、アルケルが優しく語りかける。
すべてが耽美的な音楽とメーテルリンクの戯曲に包まれ、オペラハウスを満たしていました。
とにもかくにも、この日のサイモンラトルの指揮とロイヤルオペラ管弦楽団の演奏は、
この世のものとは思えない美しさでした。
最後の一音が消え入り、しばらく無音になったあと、客席はとても静かな深い感動に包まれていました。
日本だったら、拍手で我に返るということが多いような気がしますが、
ロイヤルオペラは舞台と客席が一体化しているような…。舞台の余韻がいつまでもいつまでも残っていました。
朝6時半~夜1時まで、ひとりで外国の街を歩き回り、夜道に迷ったり、危険を感じてビクビクしたり、
外国人差別を感じたり。昼間にはランチコンサートをも聞き、夜には素晴らしいオペラを聞き、
良いことも悪いこともたくさん経験し、すっかり神経が疲弊してしまいました。
魂が傷つきながらも磨かれた。そんな一日だったように思います。
それにしてもサイモンラトルは素晴らしかった。日本に帰ったらこの日の演奏を思い出して、
もう一度スコアを引っ張り出してきて弾いてみようかな。