ウィーンに来て、一ヶ月がたとうとしております。
仕事が始まってから3週間がたち、生活のペースも徐々にできてきました。
基本的には、とりたてて問題もなく、新生活を楽しんでいます。
これはひとえにまわりの方々のおかげ。
特に3人のピアニストの同僚(大先輩です!)がとてもよくしてくださり、いつも助けられています。
仕事のこと、音楽のこと、生活のこと、英語、ドイツ語、、、、
いつもたくさん教えてくれて、たくさん話をしてくれて。
同僚というより、保護者?家族?(笑)
そんな恵まれた劇場生活をスタートさせたわけですが、
日々の仕事について、少し書きたいと思います。
バレエ団では、毎日いろんな演目のリハーサルが平行しておこなわれています。
今週金曜日にプレミエを迎える、バランシン「ストラヴィンスキーヴァイオリンコンチェルト」、ロビンス「グラスピース」、ロビンス「インザナイト」バランシン「テーマとヴァリエーション」、
フォルクスオパーで上演される、パトリックドバナ「マリーアントワネット」、
10月プレミエの「ラシルフィード」…
ダンサーもスタッフもフル稼働ですね。
私はどの演目も初めてなので、とにかく皆さんの足を引っ張らないよう、毎晩リハーサルが終わったあとに、ピアニスト部屋にこもって、ひとり黙々と練習。
日本でもわりとこんな風に生活していたので、それを特別なこととは思っていないのですが、
こちらでは特異な日本人気質に見えるのでしょうか、、
「なんでそんなに練習するの?」と聞かれること多々。。。
「あなたはすごく上手に弾けているのに。そんなに練習する必要ないよ」と…。
劇場内は特に防音が施されておらず、私の夜練は夜な夜な劇場内に響き渡っているらしく(笑)
「今の自分の演奏に満足していないから。完璧に弾きたい」といっても、
「完璧なんて目指さなくていいんだよ。シーズンは長い。もっと力をセーブしなさい」と言われる。
それもそうなのですけどね。完璧に弾くことがすべてではないし。
でも、精一杯やる、のが日本人気質なんでしょうね(笑)
さて、実は今週、私の夢がひとつ叶います。
金曜初日の「バランシン&ロビンス」公演の舞台稽古(KHP)で、ピアノを弾くことになったのです!
私は新米なので、当初は舞台稽古のピアノなどという責任重大任務を負う予定ではなかったのですが、
10日ほど前に、リハーサルでの私のピアノを聞いていた先輩ピアニスト氏が「この演目、舞台稽古はシノが弾けばいい」と言ってくれて、急遽私に変更!!
劇場で働く以上、当たり前の業務ではあるのですが、実はこれはバレエピアニストとしてのひとつの夢でした。
昔、オペラの舞台稽古では弾いたことがあるのですが、バレエのKHPは弾いたことがなかったのです。
初めてのKHPを、ウィーン国立歌劇場で!!
責任重大だけど、すっごく楽しみです。
曲は、チャイコフスキーの管弦楽組曲3番。バランシン振付「テーマとヴァリエーション」です。
これ、ピアノで弾くと、ものすごく大変なのですが、本当に素敵な曲。
今日もメトロノームかけながら、同じパッセージを鬼のように練習していたら、
「アーユークレイジー?」と言われましたが、気にしない(笑)
やっぱり不安要素はひとつでもなくしておきたい。
主役二人も初役で、とても大変な踊りを全うするため、毎日真剣勝負。
(主役を踊るリュドミラは、「シノ、まだ帰らないの?まだ弾くの?」と、よく私の部屋を訪ねてきてくれる、彼女も夜遅くまで一人で練習しているがんばり屋さん!)
よい舞台をお届けできるよう、ダンサーの支えになれるよう、私も頑張ろう。
ということで、次回は、KHPレポートをお届けしたいと思います!