同郷の若き才能たち

夏休み、まだ日本には帰らず、語学学校に通いつつ、
ウィーンでゆったり過ごしています。
先日、語学学校の帰りに劇場に練習しにいったら、様子が変。
トイレや廊下に、日本語での案内の貼り紙が!
なんと、今日は日本の高校吹奏楽部がウィーン国立歌劇場でコンサートをやると!
私の楽屋の隣が高校生達の控え室で、制服姿の大阪弁の高校生で溢れかえっていた。
なんと不思議な光景(笑)
関係者の方に話を聞くと、ここ大阪桐蔭高校吹奏楽部は三年連続全国大会金賞を取っている、
向かうところ敵なしのブラスバンドらしい。
是非聴きにきてくださいと言われ、同郷(私は大阪出身です)のよしみで客席にいってみた。
うーん確かに上手い!それぞれの技量が高校生の水準の遥か上をいっているし、
アンサンブルも見事。
彼らが普段、どれだけの練習を積み重ねているのか、想像にかたくない。
楽屋の廊下でも時を惜しむようにグループごとに合わせていた。
私たちの劇場のオケは、普段、リハなしで本番を弾かねばならないことが多い。
それはもちろん何かを怠っているわけではないし、
そのシステムで世にも美しい音楽を作り上げられる底力を誇らしく思っている。
しかし、今日の高校生たちの音はその対極に位置するもので、
瑞々しく誠実なパワーに溢れていて、とても眩しく、私の胸をうった。
だから、ありがとう。素敵な演奏を聴かせてくれてありがとう。
多分、この子達はその世界のエリートなのだろう。
全員が全員音大に進むような雰囲気の部だ。優秀な音楽家もでてくるだろう。
そんな彼らの道の途中で、ここウィーンのオペラハウスで素敵な演奏をして、
たくさんの人にブラボーをもらった今日のことをずっと覚えていてほしい。
キラキラした彼らのゆく先にたくさんの祝福がありますよう祈りつつ、
私も大きな拍手を贈ってきた。