憧れのひと

誰しも心に憧れの人の一人二人いるだろうか。
恋愛感情ではない、純粋な憧れの存在。
私は中学時代、とても憧れた人がいた。
宝塚の月組娘役トップスターだった、こだま愛さん。
関西の女子校では、宝塚はわりとメジャーな存在で、クラスに数人はファンがいた。
ちょうど第二次ベルばらブームだったこともあり、友人(今や宝塚スター!)に誘われて、舞台を観に行ったのが発端だ。
その舞台に出ていたこだま愛さんに、私は釘付けになってしまった。
歌・踊り・お芝居と三拍子揃った役者で、その実力はスターの中でもズバ抜けていた。
しかも可愛らしい容姿で、私は彼女の全てにメロメロに…笑
今、自分が表現者という立場になって、つくづく思うのだけれど、
人柄は演奏や舞台に本当に表れる。怖いほどに。
私は彼女の舞台から醸し出される人柄が、好きだったのだろう。
実は、一度だけご本人にお会いしたことがある。
彼女のお母様はバレエ教室の先生をしていらっしゃって、その教室に私の友人が通っていて、発表会を観に行った時にお会いしたのだ。憧れの人を前にして、緊張と嬉しさで胸がいっぱい、ほとんど何も話せないまま、握手してもらったのだ。天にも昇る気持ちだったことを覚えている。
追っかけをしようという気持ちはなかったけれど、
彼女が宝塚を去った後も、私は彼女に時折手紙を書いた。
彼女の舞台を観た時、人生の岐路に立った時…。
10代の頃、5~6通書いたかな?
彼女は、その度にハガキで返事をくれた。
そこに書かれてある言葉は、いつもとてもあたたかく、まっすぐだった。
そんな彼女を、私は心の中でお姉さんのように慕っていた。
思えば、当時のこだま愛さんは今の私とほぼ同い年。なんだか感慨深い。
人に憧れられるような存在には程遠いとしても(笑)、
当時の憧れの人に、少しでも近づけているかな?
彼女に貰った言葉の中で、今も心の支えになっているものがある。
音大に進もうかどうしようか迷っていた時に頂いた言葉。
「色々なことがあるけれど、悔いの無い様、信じる道を力強く歩んでくださいね」
この言葉は私の宝物。 胸にずっと大切にしまってある。
最近、彼女のブログを知りました。
そして、お茶会で愛さんと皆さんとともにお話する機会を頂いたのです!
みみさん。15年たっても、やっぱり憧れのひとでした。
可愛らしいけどさっぱりしていて、凛としていてあたたかくて。
私は、こんな、まろやかな光のような人に憧れていてよかった、と思ったのです。
きっとこれからも、ずっと憧れのひと。