早いもので、あと3日で、ウィーン国立歌劇場2012/13シーズンが終わろうとしています。
今シーズン、私はピアノコンチェルトを抱えていたこともあり、
9月~3月までは脇目もふらずに仕事三昧(あ、舞踏会だけは楽しみました!笑)、
コンチェルトが終わってからは、若干抜け殻気味になりつつも、
「ドンキホテーテ」公演のピアニストリーダーになり、
初めてのグランドバレエの通し稽古を弾く機会を頂き、充実した日々を送ってきました。
ドンキの稽古はとにかくエネルギーが要求されるので、音量に自信のない私が張り切った結果、
左手親指の爪がはがれるというアクシデントも…(涙)
が、それもほぼ治り、毎日ドキドキしていた稽古も、回を重ねるごとに慣れてきて、
無事、ウィーンでの今シーズン、ドンキホーテ6公演を終えることができました。
ドンキの稽古中、ちょっとした事件があり、(今思えばそこまで大したことでもないのに)シクシク数時間、数十時間泣き続け、もうバレエピアニストを続けられないかも、と落ち込んだことがありました。が、その時を境に何かが変わったような…。そのヤマを越えたことで、楽に弾けるようになったのです。
プロフェッショナルの仕事人として、自信を持っていなければいけないような年齢ではあるのですが、
私はどうもいつもギリギリで生きているようなところがあります。
たまに、自分のピアノの下手さ加減に嫌気がさして、「どうして生まれてきてしまったのか」などと落ち込むのです。それを、このドンキ公演の主役を踊ったダンサーさんに漏らすと、、「それ、私もよく思う。自分の写真も映像も見るのが嫌」って。。あんなになんでもできて、いつも輝いている彼女ですら、葛藤を抱えつつ頑張っているのかと思うと、驚きつつ、勇気を貰った気がしました。
落ち込んで凹んでいる暇があれば、どうすれば前に進めるかを考えよう。
さて、実は、このドンキホーテ公演。
私が初めてウィーン国立バレエ団を訪れた2011年2月14日、
稽古場で、プレミエ(初演)前の通し稽古が行われていて、私はそれを見せてもらったのです。
衣裳をつけての熱気のこもった稽古、ブルーのジャージを着て全体に目を配る監督。
ピアニストもとても素晴らしく、その全てを昨日のことのように憶えています。
(他の2名のピアニスト氏と共に稽古を見せて頂いたあの時の感じ、忘れられません。
その時、初めてお会いしたのに、もう4人ファミリーみたいな感じで空気が馴染んでいた…。
私はバレエピアニストとしてまだまだなのに、なんだかもう此処が居場所!という予感がしたのです。
今思えば、あの時の直感は正しかった。初めて会った日から今まで、他の3人のピアニストさんは、私にとってファミリー。幸せなことですね)
そんな思い出をもつドンキ公演、2年後には自分が責任者になって同じ場所で通し稽古を弾くなんて、
本当に、人生分からないものです。
さて、ウィーンでの今シーズン最終公演は、ヌレエフガラ。
私の担当は、シルフィード、眠れる森の美女、ライモンダ3幕、シルヴィア。
今年はパリオペラ座からの素晴らしいゲストがシルフィードとシルヴィアを踊りにいらっしゃるので、
その両作品を担当することができて、とても嬉しい!
毎日を、一瞬一瞬を、大切に大切に過ごしていきたいと思います。
今年は、指(爪)を痛めたこともあり、オケピに入らず、本番は客席で見せて頂くことになりました。
このヌレエフガラ、毎年一瞬でチケットが売り切れる超人気公演。
そして、ルグリ監督がここウィーン国立歌劇場で踊る、年に一度だけのステージなのです。
去年は、オケピに入っていて、全く観られなかったので、今年はとても楽しみ!
こちらが、ヌレエフガラの稽古映像です(私もライモンダを弾いています)。
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ヌレエフガラ
それからもうひとつ、先日、日本のNHKで放映された映像、
わがウィーン国立バレエ団、日本人ソリスト、木本全優さんと橋本清香さん夫妻のドキュメンタリーです。
お二人とも、ドンキホーテ公演に主演して、大きな成功をおさめられました。
本当に素晴らしい舞台でした。
日本の誇り、ウィーンの誇り、バレエ界の誇り!
素敵なドキュメンタリーなので、よろしければご覧下さいね。
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NHK ワールドWAVEトゥナイト