ウィーンフィル シェーンブルン野外コンサート

祝日だった今週木曜、友人から招待券を頂き、ウィーンフィルのシェーンブルン宮殿野外コンサートにでかけてきました。年に一度の一大イベントであるこのコンサート、何の因果か、毎年雨や強風に見舞われることで有名で、今年も数日前から天気予報は雨…。またか、と思いつつも、超晴れ女の私が参戦するとどうなるのかしら、とドキドキしながら当日を迎えました。

曇り空のシェーンブルン。雨がぽつぽつ。遠くに天使の梯子が見えますね。


暗雲たちこめていたのはシェーンブルン近辺だけで、遠くの空は晴れている…。
ウィーンフィルにはどれだけ雨男がいるの??


でも、ステージの上に虹がかかって…それ以降は雨もやんだ!(この勝負、晴れ女の勝ちかしら♪)

シェーンブルン、人、人、人。普段、ウィーンでこんなに人が集まることも珍しく、携帯やインターネットが繋がりにくくなっていたけれど、なんとか友人と合流して、一緒にVIP席へ。ワイン片手に語らいながら、開演を待ちます。


20時、いよいよコンサートの開演です!
ウィーンフィルのファンファーレから始まり、ニールセン、グリーグ、シベリウス…
このプログラム、なんだか北欧の森の中で聴いている錯覚に陥ります。

ステージからほど近い席だったものの、スピーカーからの音が勝っていて、どこかに音が反射して妙なエコーがかかっていたり、コンサートホールのような音響は望めないけれど。鳥の鳴き声と共に演奏された、ブフビンダー氏によるグリーグのピアノ協奏曲や。


大スペクタクルなペールギュント!


まさかフィンランディアのラストがこうなるとは!とか、
お祭り気分でとっても楽しめました。

ニューイヤーコンサート、オペラ座舞踏会、ライフバル、そしてシェーンブルン野外コンサート。これらのイベントの壮大さ、完璧に追求された美に、世界トップ文化大国としてのオーストリアの矜持をひしひしと感じます。そして、それを皆が受けとめ、受け継いでいっていて。素敵なことですよね。私たち日本の矜持ってなんだろうな…
華やかに彩られたシェーンブルンの庭で故郷に想いを馳せた夜でした。

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ウィーン国立歌劇場舞踏会2014

暖冬の冬が去り、春を迎え、ウィーンの桜も散りゆく今日この頃…。
すっかり季節が変わってしまいましたが、
2月27日に催された、ウィーン国立歌劇場舞踏会のことを書こうと思います。
私は、オーパンバルには去年に引き続き、二度目の参加です。
ヨーロッパの冬は、暗く長い。
バレエ団も、秋からずっとフルマラソンしているような状態で、
疲れがたまってくるこの時期に、華やかな舞踏会があるだけで、どんなに救われることか!
ウィーンにはオペラ座舞踏会だけでなく、あちこちで舞踏会が催されていて、
老若男女がこぞって舞踏会にでかけるのです。
この舞踏会があるというだけで、ウィーンに住んでいてよかったと、つくづく思うのです。
どんなに仕事で疲れていても、ドレスやアクセサリーを見にいく時間は足取りも軽く!
去年は、氷点下でとっても寒かったけど、暖冬の今年は、屋外でこの格好でも全然平気。

今年は手持ちのドレスを着ました。
英国オックスフォードのアンティークショップで買ったもの。
今年も、友人のオリーとルイズと京子ちゃんと一緒に。

写真、ボケているけど、周りの雰囲気も伝わるでしょうか。
今年は、京子ちゃんとオリーとルイズのお友達のエリーザベトも。

集合写真も一層華やかに。

私以外の4人は、合唱団仲間なのです♪
ちなみに、去年はこんな感じでしたよ
オペラ座舞踏会デビュー 開演前編
夜10時。舞踏会の開演です。
今年もオープニングを特等席で観ることができました。
デビュタント達のキラキラした顔が眩しい。

デビュタントが入場したら、まずはバレエ。

そして、ウィーンフィルとオペラアリアの演奏。

そして、デビュタントたちのポルカとワルツが踊られて(何度見ても感動!)

Alles Walzer!のかけ声で、皆がフロアに踊りでて、ワルツを。

ちょっと凄い光景。東京の地下鉄並みに混んでいます(笑)
ちょっと久々に味わったなぁ、人混み。。
今年もオリーと無事にファーストワルツを踊り(歌い)終えた記念に。

去年の舞踏会日記は、ワルツ編で力尽き、その後を書いていないのですが、
舞踏会は朝5時まで続くのです。終演までの様子を、今年は書きたいと思います!
ちなみに、今日4月10日(木)、NHKBSプレミアムで午後9時~
「世界で一番美しい瞬間」という番組で、ウィーン国立歌劇場舞踏会が特集されるそうです。
一時間の番組だそうですが、よろしければ是非ご覧下さいね。
(この番組をご紹介したくて、久々にブログを開きました笑)
デビュタントの特集かな? ご感想もお待ちしています♪

ピアニスト人生最大最高の無茶振り!

2014年1月10日、私はひょんなきっかけで、ピアニスト人生最大最高の無茶振りを頂き、
ウィーンの音楽の殿堂、楽友協会黄金ホールで演奏してきました。

あの日、楽友協会では日墺文化交流事業の一環としてコンサートが開かれ、
日本から日舞の名取りの方が踊りにいらした。
当初、録音テープで公演する予定だったのだけれど、
音楽の殿堂楽友協会では録音での公演は許さないと当日になって言われたそうだ。

このままだと公演ができない。
たくさんの来客が見込まれるなか、舞台に穴を空けることになる。
夕方になり、オペラ座で稽古中の私の元に連絡が入った。
「緊急事態なのです。今夜、楽友協会でピアノ生演奏で日舞の伴奏をしてくれませんか?」と。
曲目はドビュッシーの月の光、ラデツキー、そして、日本民謡あやめ、黒田節。

もちろん楽譜すらない状態での依頼だった。

仕事をしながら、私は考えた。月の光は、2年以上人前で弾いていなくても私の十八番だ。ラデツキーはきっとなんとでもなる。
黒田節とあやめは聞いたことがないけれど、1時間あれば、耳コピできると思う。出来る!私のなかで、「NO」という選択肢は1%もなかった。「5時半に仕事が終わったらすぐ楽友協会に向かいます」と電話を切った。

着るものはどうしよう。5時半に仕事が終わって開演が7時。
リハすることを考えるとドレスを用意する時間はない。
幸い、オペラ座の楽屋に黒の膝丈ワンピと本番用靴を常備してあるので、それを掴んで楽友協会に向かった。オペラ座から楽友協会は徒歩7分。youtubeでラデツキーを聞きながら…。

会場につき、「お役にたてるかは分かりませんが、合わせてみましょう」とステージに向かった。15分のステージリハでとりあえず月の光とラデツキーを。舞踊手がどんなテンポをどんな音を求めているのか。私は日舞の伴奏をしたことはないけれど、ああバレエと同じ!私がいつもしている仕事と同じ!

月の光も大丈夫。この曲は何も考えないでも身体が覚えている。
ラデツキーもニューイヤーで聴いたばかり(笑)
問題は日本民謡の二曲。黒田節には謡がつく。
音源すら聞いたことがないなか、歌に合わせてハッタリで弾いてみる笑。
だけどこれは…アカペラの方がいいのではないか?アカペラ決定!ホッ(笑)

そしてあやめ。どんな曲か想像もつかないので、楽屋で音源に合わせて踊って頂く。
三味線に謳がつく4分くらいの民謡。
これをピアノで再現するのはかなり難しい(本番まで30分切っている)。
私は「今、大体のイメージが掴めたので、踊りに合わせて即興で音楽をつけるのはいかがですか?」と提案。
私は子供の頃から、バレエピアニストになった今も、ずっと人前で即興演奏し続けてきているので、即興に抵抗はない。舞踊手さんは私の提案を快く受け入れてくださり、喜んでくださった。きっと彼女は多くの舞台経験を積まれているプロフェッショナルでいらっしゃる。

私がどんな即興演奏をするか分からないのに、信じてくださること。どんな状況でもベストを尽くそうとすること、それが初対面の方とできることがとても嬉しかった。
そして本番…楽友協会黄金ホールは、(予想に反して)かなり満席近いことになっている!!
私、平服、楽譜もなし、、即興はさておき、月の光、数年ぶりにさっき一度弾いただけで最後まで弾けるのか!?もう、緊張すらできない状況?楽しくてワクワクして!早くステージに行きたい!って!!
このステージに乗ることに躊躇するピアニストなんていないでしょう?

本番で私は、ただただ、感じて味わって、それを音に紡いでいった。即興も月の光も。
ここウィーンの楽友協会でたくさんのお客様を前にピアノを弾けること、
初対面の舞踊手さんとお互いを信じあってコラボできること、
ピアノの、ホールの美し過ぎる響き…
全てがパーフェクトに幸せで、その幸福を音に紡いでいった。

オペラ座のピアニストになった時、オケピでコンチェルトを弾いた時…
ピアニストとしてこれ以上の幸せはあるのだろうか、くらいに思っていたけど、
人生、想像もつかないことが起こるのですね!
私にお話を振ってくれた女性に心から感謝し、
楽友協会デビューの想い出を大事に心に留めておこうと思います。

楽友協会の楽屋にて

 

次回はステージドレスを着て弾きたいね(笑)

楽屋口。
ありがとう。またいつの日か!!!