ベオグラード公演と豊かさについて

先月、ウィーン国立バレエ団は、セルビアの首都ベオグラードにて公演してきました。
ベオグラードダンスフェスティバルへの客演です。
中欧から距離こそ近いものの、旧ユーゴスラビアは異文化、、遠く感じます。
ウィーンからベオグラードは飛行機で2時間弱。
機内誌には、わがカンパニーの星、木本君の写真。

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ホテルからの眺め。

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公演会場サバセンター(日本の国際展示場みたいな感じかな)にて、

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公演も大盛況でした。

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うちのカンパニーのセルビア人ダンサー二名もそうですが、
セルビア人は背が高くて美男美女が多いという印象。
初日のディナーに、連れていって頂いたレストラン。

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公演前のランチ。肉大盛!
踊る前にみんなで体力をつける(笑)

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今回は二泊三日の弾丸ツアーでしたが、
最終日、二時ごろまでフリーだったので、私はホテルのプールでひと泳ぎしてから、街へ繰り出してみることに。
サバ川ほとりの旧市街。

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セルビアは南スラブ民族なので、文字はキリル文字。

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スラブ系のダンサー達は、皆ロシア語で現地の方とやり取りしていました。

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物価はそれほど安くなく、ショッピングセンターに行ってみると、ウィーンより高く感じるほど。
外国人向けなのでしょうか…。
ひとつ、おもしろいことに気づきました。
セルビアでのお店での支払いがかなりおおらかなのです。
たとえば、スーパーに行ってお水を買ったとします。
100円だったとして、私が細かいお金は70円しか持っていなくて、
あとは500円玉しか持っていなかったとします。
すると、70円でいいよ!と、まさかの切り捨て。
このレジの方が特別かと思いきや、アイスクリーム屋さんでも空港の売店でも、どこでもそうだったので、そういう文化なのでしょう。ウィーンでは大抵、チップとして多めに支払うし、日本では1円単位まできっちり計算するし、、支払いへの価値観もほんとにそれぞれですね。
このような建物も旧市街の至るところに。

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美しい教会。

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ふと一人我に返り、セルビアでこうして仕事をしていることの不思議をかみしめたり。

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ピアノという翼を与えてくれた両親、今まで出会った方々がここまで連れてきてくれたのだろうな。ありがとう。
そして、旅の最後にハプニングが。
ウィーンゆきの飛行機が強風のため遅延して、ベオグラードの空港で足止め。。
ダンサーたちは次の日も、ウィーンで「真夏の夜の夢」公演があるので、ヤキモキ。
結局、空港で七時間も待ち、ウィーンの家に戻ったのは深夜12時を回っていました。
疲れたけど、普段あまり話せないダンサーたちとたくさん恋バナしたりバカ話したり飲んだり。

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こんな時間もきっと旅の醍醐味であり、ギフトだと思いました。
最近、よく思うのです。
「この瞬間を忘れないでいたい。ずっと覚えていたい」って。
だけど、きっと記憶ってポロポロこぼれ落ちていって、いつか忘れてしまう。
ひとつひとつを永遠に覚えておくことはできないかもしれないけど、
いつか忘れてしまうかもしれないけど、
豊かな何か、は残っていき、蓄積されていくものなのかもしれない。
記憶が昇華された後に残る豊かさ、こそが宝なのかもしれない。
今回の旅も、日々の小さなことも、豊かに残っていきますように。

桜色に彩られる、ウィーンの春

長かった冬が終わり、ウィーンにも春がきました。
実はウィーンには、たくさんの桜の木があります。
1996年に、オーストリア1000年祭を祝して、日本から1000本の桜の木が寄贈されたそうです。
桜は先週、見頃を迎えていたので、仕事帰りに桜を見に出かけてきました。
外国の地で見る桜は格別に美しくて優しくて。
桜色に彩られたウィーンの春を、おすそ分けしたいと思います。
市立公園にて

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ドナウ川にて

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日本流のお花見をしている人はいませんでしたが、桜の木の下に寝転んで、空いっぱいに広がる桜を楽しむウィーンっ子達も。
今年は仕事帰りに寄っただけだったけど、来年はお花見ピクニックもしたいな。
ドナウの桜並木、ウィーンにいる限り、毎年見にこよう。

ピアノコンチェルト弾いてきました!

ずいぶん時間がたってしまいましたが、ピアノコンチェルトのご報告を。
2013年3月3日、初めてのピアノコンチェルト、弾いてきました。
2200名のオーディエンスを前にして、
私はどういう気持ちになるんだろうと一年前から心配していたけど、
その日が近づくにつれ、穏やかな気持ちになっていくのを感じていました。
感謝の気持ちが溢れてきて。
だって、こんな幸せな経験ができるなんて、そうそうないと思うから。
仲良しのオケの方は、わざわざシフトを交換してくれて、一緒に弾くよ!と言ってくれていたり。
あたたかい気持ちで当日を迎えることができました。

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演奏前、ピアノにそっとキスをした瞬間から、自分の世界に入れたのだと思う。
弾き始めは緊張したけど、だんだん曲に引きこまれて、音楽と一体化する感覚を味わいました。
敬愛するオケの息づかいを感じ、舞台上の愛するダンサーたちの踊りを感じ、
バッハの音のなかにいた時。
なんだか、光とか愛とか、そのようなもののなかにいるみたいで。
弾き終えたあと、オケの方々が笑顔で拍手してくれて、オケピのなかで彼らに何度もお辞儀した。
そしてカーテンコール。舞台袖には会いたかった人がいてくれて、
舞台でもダンサーの皆があたたかい笑顔で迎えてくれて。
ひとりで観客の前に出ていくと、信じられないことに、歓声と大きなエネルギーに包まれて。
オケの人も立ち上がってカーテンコールに拍手を贈ってくれている様子をみて、涙が。。
気づいたら、日本語で「ありがとうございます!」と言いながら、お辞儀をしていた。
こんなにたくさんの観客の前でソリストとして拍手に応えるのも初めてで、
なんだか動揺してしまった!(笑)

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just heavenly….
その後、楽屋で感極まって泣いていたら、仲良しの京子ちゃんがお花を持ってきてくれて。
二人でカンティーネ(食堂)で乾杯!

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右は指揮のマルクス。
左はコンサートマスターのライナーキュッヒルさん。
(キュッヒルさんもこの日、チャイコフスキーヴァイオリンコンチェルトのソロを演奏されました)
「一緒に弾けて、とても楽しかった。やっと心地よいバッハが演奏できた。」
この言葉は本当に嬉しいものだった。
生まれかわっても覚えていたい、この感覚。
終演後は、お友達と集まって乾杯!

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劇場の愛する仲間。一緒に弾いたチェロのなおきさんと京子ちゃん。

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ひな祭りだから、と京子ちゃんが作ってきてくれた美味しいちらし寿司をつつきながら、
三人で朝まで飲み明かしました(笑)

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見守ってくれて、そばにいてくれたお友達、同僚の皆さんの優しい気持ちに、
感謝の気持ちでいっぱい。
次の公演は、3月21日。
前回より更に充実した演奏ができるよう、気合いを入れて!
次回の打ち上げは、ライプツィヒのバッハミュージアムで買ってきたスパークリングワイン、そして焼酎!(笑)