習慣のこと、お酒のこと

お酒をやめてから、二週間がたちました。
それまで、毎晩お酒を飲むのが習慣で、仕事後のリラックスタイムにはお酒は欠かせないものでした。
オーストリアでは、私の好きなすっきりとした白ワインがボトル3ユーロもせず美味しく飲め、
ビールにいたっては500ml 約50円で飲めるのです!
ただ、もともとそんなに強くない(グラス3杯が限度)のが、このところ更に飲めなくなり、
ワインもグラス1杯で充分、というように。
そして、お酒を飲むと眠りが浅くて夜中に目を醒ますことが気になってきて。
更には、仕事を終えてお酒を楽しみにしている自分に違和感を覚えるようになってきたのです。
毎日劇場にいて幸せなはずなのに、お酒がないとリラックスできないなんておかしくない?と。
果たして、私の心と身体は本当にお酒を求めているのか?
依存しているだけなのではないか?と思い始め、断酒にトライ。
ヨーロッパの今の時期は夜10時頃まで明るく、どこのお店も道路にテラス席を出して皆楽しそうにお酒を飲んでいます。そんななか、お酒を飲まないとなると何をしていいのやら…晩ご飯にお酒の代わりに何を飲んだらいいのやら…今まで、酒の肴的料理ばかりつくって来たので、ここへきて芸風を変えなければいけないのかと!
最初のうちこそ、そんな違和感があったものの、飲みたい欲求にかられたことは、この2週間で一度もなく。ああ、私の心身は、実はお酒を欲していなかったのだ、ということを知ることができました。それを知ることができただけでも、とてもよかったな、と。
最近、実に10年ぶりの健康診断を受けたら、「どこにも問題なし。超健康優良です」と言われ、10年ぶりであちこちガタがきているのを覚悟していただけに、逆に面食らったのですけれどね!笑
毎日の生活習慣を見直すこと。
それが本当に自分にとって必要なことなのかどうなのかを知り、シンプル化することは、心身を健やかに保つために、必要なことだと思っています。
何かをやめた先にある自分は、どういう自分なんだろう。その変化を感じるのは楽しいこと。
とはいえ、人と飲むお酒は、とても素敵なものだと思うので、
誰かと一緒の時は、お酒を楽しみたいなと思っています。
お酒を飲むのは特別な時だけ、というのも素敵かもですよね♪

火の鳥〜生命讃歌

久々にウィーン交響楽団を聴きに楽友協会へ。
旅行でウィーンを訪れていた頃は、いろいろコンサートに出かけたけど、
こちらに住むようになってからは、歌劇場以外の公演に行く余裕はほとんどなくなり。
ウィーンフィルジルベスターコンサート以来、ほぼ4ヶ月ぶり…。
指揮はフィリップヨルダン。
前半のブラームスピアノコンチェルトがつまらなくて、途中で帰りたくなったのだけど、
後半の「火の鳥」でオケが別人のように化けた!!
あんな名演、爆演は、なかなか聴けるものじゃない。
冒頭から凄い集中力だったけど、「カスチェイの手下の踊り」の辺りから、
明らかに何かが降り注いでいた。取り憑いていた。
身も心も委ねながら、音楽って一体なんだろう、と考えた。
ここまで人を魅了し、それでいてとてもプリミティブなもの。
きっと、音楽は「エネルギー」そのものなんだと思う。
大きな魚になって、悠々と海の中を泳いでいる。
曲を聴きながら、そんな感覚に陥った。
「火の鳥」を聴きながら、海の中にいるというのも何か可笑しいけれど、
太陽の光が注ぎ込んで、水がキラキラ輝いている様だとか、
刻々と変わる青の色合いだとか、
背びれ、尾ひれを巧みに使いながら、水をきる心地よさだとか、
とてもとても豊かで不思議な感覚を味わった。
魚である自分が誇らしくて、全てが眩しくて。
そして、それは生命讃歌に思えた。
「火の鳥」は生命讃歌なのかもしれない。
生きとし生けるすべてのものへの讃歌。大きなエネルギー。
すごいね、音楽って。芸術ってすごいね。
日常的に、ウィーン国立歌劇場管弦楽団を聴き、共に演奏し、日々育てられている私だけれど、
このような奇跡が起こることって、滅多にない。
(前日は「薔薇の騎士」を観たのだけど、つまらなくて途中で帰ったし…)
でも。奇跡は偶然に生まれるものではない。
真摯に向き合ってこそ、生まれるのだと思う。
なぜなら、やっぱりそこに「エネルギー」が発生しているから。
エネルギーをかけたものからしか返ってこない。
これは真実だと思う。
今日の演奏を忘れず、魚になって海を泳いだあの感覚を忘れず、
大きなエネルギーを生命讃歌を奏でられる人間になりたいと思う。
真摯に。真摯に。
火の鳥、もう一度全曲弾きたいな。
いつかウィーンバレエでも、火の鳥が上演されることを願いつつ。

ウィーン到着!

無事、ウィーンに到着しました!
空港に到着してから、タクシーでアパートに向かい、
出迎えてくれた大家さんに、ガス、電気、水道、ネットを繋いでもらい。
次の日には、住民登録と銀行口座開設を済ませ。
主に住まいのことで、何かとトラブルはあるものの、
とにかく、劇場での仕事を第一に考えている私にとってはささいなこと。
洗濯機が回らなくても、ネットが不通になっても、あまり気になりません(笑)
仕事が始まるのは来週月曜なのですが、昨日、初めて劇場にいってきました。
劇場で迎えてくれた事務局のイリスは、私が冬にオーディションを受けた時によくしてくださって、
「あなたに、すぐに良いご報告ができたら嬉しい」と言ってくれた同世代の女性。
5月にオファーを頂いてから、ずっとメールで話してきたので、
会うのは二回目なのに、なんだかもう打ち解けた雰囲気(笑)
私は、あまり言葉が話せないのですが(ドイツ語はおろか、英語すら!)、
心が通じていると、語学は特に困らないんですよね。
(向こうは困っているかな笑)
右脳で感じるというか。非言語コミュニケーションの力って大きいですね。
そしてそして、リハーサル室のピアノにも再会。
$こころの音色
これは、オーディションで弾いたピアノ。
また逢うことができて、本当に嬉しい。
今週中は劇場は夏休みなので、広いリハーサル室で思う存分練習してきました。
今日もこれから劇場で練習してきます!
今日は、ルグリ監督もいらっしゃるそうですよ。
ところで、ウィーン。灼熱の暑さです!
35℃クーラーなしの生活は….。
東京でできたあせもがウィーンにいけば治ると思っていたのに、悪化してます(涙)
新シーズンが本格的に始まる頃には、少しは涼しくなっていますように!