チャイコフスキーピアノコンチェルトを弾く

火曜日に初日を迎えるバレエ「アレグロブリランテ 」(バランシン振付)。
曲はチャイコフスキーピアノコンチェルト3番なのだけど、
予定されていたピアニストが本番4日前にドタキャン………。
その夜、事務局から連絡があり、急遽、翌朝のオケ練にジャンプインすることに。
準備もままならないまま、オケと一緒に弾いて、それだけでもおなかいっぱいなのに、
本番も弾いてほしいとのこと。
ドタキャンしたピアニストの代わりに、準備3日でチャイコフスキーピアノコンチェルトを弾く?
コンサートピアニストでもない私にこんなこと可能なの?
しかも、ここはウィーン国立歌劇場、音楽の殿堂。
オーケストラはウィーンフィル、観客2000人。
自分では答えが出せなかった。
でも、指揮者と監督が、君ならできるって言うなら。それを信じてジャンプインすることにした!
私の人生、どうしていつもこう、崖っぷちなんだろう!
リハ室を自宅仕様にしてひたすら譜読み。本番まであと44時間!
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ウィーン国立歌劇場舞踏会2014

暖冬の冬が去り、春を迎え、ウィーンの桜も散りゆく今日この頃…。
すっかり季節が変わってしまいましたが、
2月27日に催された、ウィーン国立歌劇場舞踏会のことを書こうと思います。
私は、オーパンバルには去年に引き続き、二度目の参加です。
ヨーロッパの冬は、暗く長い。
バレエ団も、秋からずっとフルマラソンしているような状態で、
疲れがたまってくるこの時期に、華やかな舞踏会があるだけで、どんなに救われることか!
ウィーンにはオペラ座舞踏会だけでなく、あちこちで舞踏会が催されていて、
老若男女がこぞって舞踏会にでかけるのです。
この舞踏会があるというだけで、ウィーンに住んでいてよかったと、つくづく思うのです。
どんなに仕事で疲れていても、ドレスやアクセサリーを見にいく時間は足取りも軽く!
去年は、氷点下でとっても寒かったけど、暖冬の今年は、屋外でこの格好でも全然平気。

今年は手持ちのドレスを着ました。
英国オックスフォードのアンティークショップで買ったもの。
今年も、友人のオリーとルイズと京子ちゃんと一緒に。

写真、ボケているけど、周りの雰囲気も伝わるでしょうか。
今年は、京子ちゃんとオリーとルイズのお友達のエリーザベトも。

集合写真も一層華やかに。

私以外の4人は、合唱団仲間なのです♪
ちなみに、去年はこんな感じでしたよ
オペラ座舞踏会デビュー 開演前編
夜10時。舞踏会の開演です。
今年もオープニングを特等席で観ることができました。
デビュタント達のキラキラした顔が眩しい。

デビュタントが入場したら、まずはバレエ。

そして、ウィーンフィルとオペラアリアの演奏。

そして、デビュタントたちのポルカとワルツが踊られて(何度見ても感動!)

Alles Walzer!のかけ声で、皆がフロアに踊りでて、ワルツを。

ちょっと凄い光景。東京の地下鉄並みに混んでいます(笑)
ちょっと久々に味わったなぁ、人混み。。
今年もオリーと無事にファーストワルツを踊り(歌い)終えた記念に。

去年の舞踏会日記は、ワルツ編で力尽き、その後を書いていないのですが、
舞踏会は朝5時まで続くのです。終演までの様子を、今年は書きたいと思います!
ちなみに、今日4月10日(木)、NHKBSプレミアムで午後9時~
「世界で一番美しい瞬間」という番組で、ウィーン国立歌劇場舞踏会が特集されるそうです。
一時間の番組だそうですが、よろしければ是非ご覧下さいね。
(この番組をご紹介したくて、久々にブログを開きました笑)
デビュタントの特集かな? ご感想もお待ちしています♪

眠れる森の美女を弾く

「一度でいいから、眠りの通し稽古を弾いてみたい」同僚にそう言ったのは今シーズンの初めだったかな。眠れる森の美女。この作品には宇宙の真理が描かれていると私は思っている。チャイコフスキーのバレエ音楽のなかでも特に芸術性が高く、全幕ピアノで弾くのはピアニストとしての力量も相当問われる。4人いるピアニストのなか、実はなんとなく役割が決まっていて。私は主役とソリストの稽古、そして公演の際、オケのなかで弾くことが多い。眠り公演もオケピに入るのが決まっていたから、私が通し稽古を弾く可能性は低かった。だけど、同僚が一人、一月から病欠することになってしまい、急遽、私が通し稽古を担当することに!

指名されてから全体稽古までたった3日。
全曲弾きたいと言いながら完璧にしていなかった自分を恨みつつ、
素晴らしく壮大な音楽を前にして自分の小ささに悶えつつ、
「乗り越えられない困難は与えられない」と呟きつつ、躁鬱ギリギリな感じで笑。
でも、皆に支えられ、宇宙の真理である、私たちのSleeping Beautyを日々創りあげていっています。
芸術に没頭できる日々。幸せ。

2011年2月14日。
この日、私は初めてウィーン国立バレエ団を訪れました。
雪降るあの日、偶然が偶然を呼び、魔法のようにウィーンへの扉が開きました。
あれから3年。
振付のサーピーターライトとルグリ監督…
お二人のバレエの神様の元、ここウィーンで、愛する眠りの全幕稽古を弾いている自分がいます。
ここに来たかったのだと、この美しい場所に来たかったのだと。
深い感慨が胸に広がります。
今回の眠り公演は、初日の幕が開く前から、主役にキャスティングされていたダンサーが次から次へと倒れ、ほぼ毎回、公演当日に主役がジャンプインという異常事態が発生しています。
いろんなことがあります。
でも、ただひたすらに、花を咲かせようとする仲間たちを見て、
私も勇気をもらっている気がするのです。
おもいっきり味わって、今を生きようと思うのです。
あと何回、こんな風に眠りを弾けるのだろう。
毎稽古、毎公演、一期一会の切なさが胸をよぎる私は、少しおかしいかもしれません。
でも、そんな気持ちをも大事にしようと思います。
公演でも、オケピの隅っこから、愛を送ります。