拝啓 J.S.Bach様

ライプツィヒ旅日記の続きです。
ライプツィヒといえば、J.S.Bach様の聖地。音楽を志す者の聖地。
来年、バッハを弾く本番を控えている私としては、どうしても、今、訪れておきたかった。
バッハにご挨拶しておきたかった。
バッハが長い間勤めていた、トーマス教会。
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ここで、たくさんの曲が生まれました。
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今回は二日間とも、このトーマス教会で礼拝に参加し、バッハを聴くことができました。
トーマス教会付属少年合唱団とゲヴァントハウス管弦楽団メンバーによる演奏。
これは、、なんとスペシャルな音楽体験だったでしょうか。
私の両親が以前、英国オックスフォードに住んでいて、
私も一ヶ月滞在して、英国の教会合唱文化に浸ったことがありました。
ウィーンに住んでいるから、ウィーン少年合唱団も知っています。
だけど、トマーナーは、本当に繊細でピュアで特別な何かを持っていました。
これが、バッハの聖地で彼が手塩にかけて育て、遺した財産なのでしょうか。
合唱団の今の音楽監督が実験的な試みもする方らしく、おもしろい合唱曲も聴くことができました。気に入ったのは、マルティンルターが1529年に遺したグレゴリア聖歌のようなメロディーを合唱に編曲したもの。とても美しく、独創的な曲に蘇っていました。オルガン演奏も素晴らしかったです。
こうして、ライプツィヒでは、古いものが守られ、新しいものが常に創造されていっているのです。きっとバッハが生きていた日常と同じように。豊かに脈々と受け継がれる文化。
粛々と、お墓参りを。
バッハのお墓は、このトーマス教会の中にあります。
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少しの言葉を交わして
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トーマス教会の向かいにある、バッハ博物館へ。
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バッハが弾いていたオルガン。
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こちらは、なんと、2005年に発見された、バッハの曲。
とても美しい曲でした。こんな曲が数百年も眠っていたなんて。
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バッハの家系は、そのほとんどが音楽家。
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ところかわり、こちらはバッハのもうひとつの勤務先、ニコライ教会。

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教会内のバッハ像

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パイプオルガン

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ちなみに、ニコライ教会は、東西ドイツ統一運動が始まった場所なのだそう。
最後に、バッハと記念撮影を。
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バッハを訪ね、彼の遺した音楽遺産に直に触れ、感じることができたこの旅はきっと、きたる本番、そして今後の人生の大きな糧になることと思います。
おまけ。
ライプツィヒみやげに、バッハのパルティータが描かれたエコバッグとスパークリングワインを。

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来年、無事にバッハの本番が終わったら、開けるつもり。今から楽しみです。

晩秋のライプツィヒへ

週末を利用して、晩秋のドイツ、ライプツィヒに出かけてきました。
ライプツィヒには友人が住んでいて、以前から誘ってもらっていたのです。
彼女がこの一年間で三度もウィーンに来てくれていたのに対し、私はこれが初めてのライプツィヒ訪問。
(実は、前の週にもウィーンに来ていて、私の誕生日に二人でミュージカルエリザベートを観たばかり、という蜜月っぷり笑)
朝7時半にライプツィヒに到着して、
友人が作ってくれた朝ご飯を食べてから、公園を散歩。
今年の紅葉はとても美しい。
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さっそく連れて行ってもらったのは、セバスチャンバッハ通り。
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近くには、ベートーヴェン通りも。
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そして、ベートーヴェン通りからほど近い街角で、滝廉太郎氏にお会いしました。
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ここは、シューマンと妻のクララが出逢った街角、だそうです。
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メンデルスゾーン像。
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ところで、ライプツィヒは実はお買い物天国(笑)
旧東ドイツは割とどこもそうなのですが、壁崩壊以来、近代化が進み、
新しいものと古いものが、混沌と共存しています。
それが旧東らしさであり、街の魅力にもなっているかと。
旧ハプスブルク帝国の首都ウィーンよりも、ずっとイケてるデパート群。羨ましい!
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クリスマスの華やぎの準備が進む街の屋台で、友人おすすめのお菓子を。
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美味しい!!
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ゲヴァントハウス。
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私の母いわく、ゲヴァントハウス管弦楽団は、世界一美しい響きを持つオーケストラだそう。
今回はタイミングが合わず、ここでの演奏会を聴くことができなかったので、
次回のお楽しみにとっておこう。
そして、ゲヴァントハウス内のミシュラン1つ星レストランで、贅沢ディナー。
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このお料理、ゴージャスな感じではなくて、とても誠実であたたかいお味。
何を頂いてもその印象は変わらない。
料理人の方の人となりが伝わってくるようなそんなお料理。幸せに浸りました。
料理で人をこんなに幸せな気持ちに出来る人、尊敬します。
お土産に、クリスマス名物のシュトーレンも買い、ほくほく気分でおうちに。
友人の家に着いてすぐにバタンキュー!ああ、これぞ旅の醍醐味。あ、いつものことか(笑)
グルメな彼女には、ウィーンでもいろんな美味しいお店に連れていってもらっています。
むしろ、彼女が教えてくれたお店しか知らないほど。どっちが住人?(笑)
ちなみに、彼女はもちろんお料理も上手で、
次の日のお昼に作ってもらった鶏の唐揚げ(私が随分前からリクエストしていました)に、悶絶。
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ああ、大好きな唐揚げ食べたの、どれくらいぶりだろう!
前の晩の星つきディナーの記憶が飛びました(笑)
美味しいものを分かちあえる友がいること。
幸せを分かちあえる友がいること。
本当に幸せですね。感謝。
さて、次は、旅の最大の目的、J.S.Bach様のことを書きます。

フィンランド紀行その1 森と湖の国

フィンランドに降り立ち、空を見上げたら、その美しさに心を奪われた。
緯度が高いからなのか、雲が空の低いところにあって、いまにも手が届きそう。
「いい季節なので、是非フィンランドに、バレエ団も見にいらしてください」
そうおっしゃってくださった、フィンランド国立バレエ団プリンシパルの中川真樹さんにお会いしに、私は今年の夏旅をフィンランドに決めた。ウィーンからヘルシンキは飛行機で2時間半。時差は1時間ある。私にとって初北欧である。
北欧は、日本から一番近いヨーロッパ、でありながら、西欧ほどメジャーではなく、
どこか憧憬に近いものを抱かせる国々ではないだろうか。
今回は、真樹さんに案内してもらい、様々な面からフィンランドの魅力に迫ることができた。
フィンランド国立歌劇場のこと、大好きな映画「かもめ食堂」特集は、後に記すとして、
まずは、フィンランドの風景、印象を切り取ってみよう。
フィンランドといえば、森と湖の国、サウナ発祥の国、オーロラとサンタとムーミンの国。
ヘルシンキ中央駅に到着。雰囲気は、西欧よりもロシアに近い。
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ヘルシンキ大聖堂。
青空と白亜のコントラストが美しい。
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ヘルシンキの中心地はこじんまり小さく、健脚なら端から端まで歩けるほどの広さである。
また、トラムが街を縦横無尽に走っているため、不自由はしない。
街を歩いていると聞こえてくるフィンランド語が、可愛い。
こんにちは、は「ヘイ」、はい、は「ヨー」、さようなら、が「モイモイ」。
軽やかで可愛い響きとはうらはらに、フィンランド語は世界で二番目に難しい言語、と言われているそう。
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ちなみに、北欧の夏はやっぱり涼しい。晴れた昼間でも、20℃前後だったり。
半袖で街を歩くと少し寒いくらい。
しかし、こんな美しい良い季節はほんのわずかな時間で。
半年以上は太陽がほとんどあたらない、暗い空の下で生活するため、
鬱病、アルコール中毒患者が多く、社会問題なのだとか…。
しかし、厳しい自然と共存する過程で確立されてきたのであろう、豊かに生活する智恵は、
フィンランドの生活水準、教育水準を高いものにしているのも事実。
たとえばデザイン。
自由でモダンで大胆なデザインは北欧ならではのもの。
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アラビア美術館にて。
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マリメッコにて。
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マリメッコは世界中で愛されているブランドだが、
国内消費が70%を占めているという。
実際、マリメッコの洋服、かばんを持っている人をたくさん見かけた。まさに国民的ブランド。
ちなみに、物価は高い。
オーストリアと比べると、1、2倍~1、5倍に感じる。日本よりも少し高め。
真樹さんのお話を聞いていると、ヘルシンキの家賃はきっとウィーンの倍以上だ。
でもきっと、平均年収も随分違うと思う。ウィーンを基準にしてはいけない(笑)
そして、一番素晴らしかったのが、やはり自然。
フィンランドには国民の数だけ湖がある、と言われているそう。
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そこにいるだけで、心が穏やかになっていくような、この空気感。
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夜が更けても、なお空は明るい北欧の白夜。
心がしんとする風景。
そして、こちらが日本が誇る北欧の舞姫、
フィンランド国立バレエプリンシパルの、中川真樹さん。
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フィンランドの空気感のように、穏やかで芯の強さを感じさせる、美しい女性。
オペラハウスを案内してくださった後、夜が更けるまでワイン片手に色々語りました。
真樹さん、夏のバカンスを終え、前日に日本からヘルシンキに戻っていらしたばかりだいうことで、
きっと時差ぼけもあっただろうに、三日間快くおつきあいくださってどうもありがとう。
たくさん語れて嬉しかった。
真樹さんとお別れして見上げた空には満月が。
白夜に輝く、白銀の月。
忘れられない風景。
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ゆっくりと、北欧の夜は暮れていく…
さて、次回は、真樹さんの所属するフィンランド国立歌劇場のことを書きます。