人生には特別な夜がある。
その日を境に自分のなかで何かが生まれてしまうような。
今夜、もしかしたら私にとってそんな夜だったのかもしれない。
バイエルン国立歌劇場オペラ『アリオダンテ』公演を観てきた。
今までオペラは何十本も観てきたし、自分自身も関わってきた。
だけど、その価値観がくつがえされるほどのステージだった。
これが世界の頂点か。何度鳥肌がたっただろう。
音楽のもつ力・人間のもつ力を、更にはこの世の美しさを知った。
今宵、私をこの場に導いてくれたジョナス総裁とも再会し、お話することができた。
一生音楽と共に生きようという勇気をもらった。
何かが私のなかで確実に生まれた。
人生は点の連続であるから、先のことは分からない。
だけど、今夜感じたもの・生まれたものを一生心に刻んでおきたいと思う。
自分の道を歩くって、生きていくってこういうことなんだな。
*『アリオダンテ』
http://www.nbs.or.jp/stages/bayerische/perform03.html
夢のようなほんとの話
土曜日のことです。私は仕事で、とあるレストランにピアノを弾きに。
その日は台風が近づいていたので、お客様もまばら。
いつもはお客様の様子を伺いながら、雰囲気を見て演奏するのだけれど、
なんだか気分が良くて、私は自分の世界に入り込んでしまった。
クラシック、自作曲、ジャズ・・・を即興演奏でつなげた30分のステージ。
(毎度のことながら何の構成もない、心の赴くままのアドリブステージ)
弾き終わると、珍しく盛大な拍手が!ふと我に返ってあたりを見回すと、
拍手の主は、少し遠くにお座りの4人の上品そうな外国人のお客様。
深ぶかとお辞儀をして、ピアノを後にしようと思ったら、もっと弾いてくださいと言う。
しかも、リクエストはショパンのバルカローレとバラード3番。
おいおい、そんな大曲いきなり弾けないよ!と思いつつもピアノに向かってしまうお調子者の私。えっと、何調だっけ?と思いながら(爆)、おそるおそる弾き始める。ところどころ忘れてしまっているのでアレンジでごまかす(笑
弾き終わると、初老の男性が二人、私に近づいてきました。
「Can you speak English?」
英語喋るのも5年ぶりくらいだよ・・・。
貧しい英語力を駆使して会話したら、驚愕の事実が!!!
「貴女のピアノ、素晴らしかったです。我々も音楽家なのです。
私はバイエルン国立歌劇場総裁のサー・ピーター・ジョナスといいます。
こちらは指揮者のズービン・メータです」
えぇぇぇぇっっ!!!今来日公演中のミュンヘンオペラ!!
その頂点に立っておられるお二人!!!!
腰を抜かして口を聞けないでいると、名刺と公演プログラムを手渡してくれた。
そして「You must come our opera!」と繰り返す。
must?来い?命令形?(笑)さすが大物は違う。
「実は私もコレペティ(オペラのリハーサルピアニスト)をやっています」と言うと、
深く頷くお二人。
「分かります。貴女のピアノはきちんとクラシカルトレーニングされているピアノだ。どこのコレペティを?」と聞かれ、どこも専属ではないので困ったあげく、苦し紛れに新国立劇場だというと(それはバレエだけどぉ)大喜びされる。
…しかしこの語学力のもどかしいことよ。
ということで、ヘンデルのオペラ「アリオダンテ」(日本初演)にご招待して頂くことになりました。
公演当日、バックステージの彼らを訪ねることを約束。
まさか、こんなところでこんな夢のような出会いがあるとはね。
オペラの仕事から遠ざかっていることに、焦りを覚えていた時だけに!
10月の公演と彼らとの再会が待ち遠しいです(単なるナンパではないことを祈りつつ 笑)。
それまでに、付け焼刃の語学力を身につけておかなくては!!
バイエルン国立歌劇場日本公演
http://www.nbs.or.jp/stages/bayerische/
博多、祇園山笠
7月15日。東の空が白みかけた午前4時59分。
静寂を破り、博多の櫛田神社にドーンと太鼓の音が鳴り響く。
博多地区7つの町ごとの山傘(みこし)が猛然と境内になだれ込む。
博多男たちの祭りのクライマックスだ。
『博多祇園山傘』のフィナーレ・追い山。
「博多に来たからには是非追い山を見ていってほしい」
たまたま仕事で博多を訪れていた私に、土地の人は目を輝かせて語った。
コンサート本番の翌朝4時、眠い目こすりホテルを出て、薄暗い博多の街をひとりてくてく歩き、地下鉄に乗り、祇園の街に繰りだした。
祇園駅到着。道という道はすべて人で埋め尽くされている。
医学会会長ご家族と無事合流し、沿道に佇む。
車道を山傘が走り抜けるたび、拍手と大歓声、
そして「山追い」の男たちにかける勢い水のしぶきが飛ぶ。
ねじりハチマキに法被とふんどしという雄姿の何百人もの男たちが「オイサ、オイサ、オイサ、オイサ」と声を合わせ、威勢よく街を疾走する。男たちの目の輝きは野性そのもので、山傘を担ぐ法被には血すらにじんでいる。
その迫力と熱気は今まで味わったことがないもの。
胸が熱くなって、涙がにじむほどの感動を覚える。
九州男児、カッコよかーー!!
山傘は5kmの道のりを疾走しタイムを競う。
そしてそれぞれの町内に無事帰ってきた山傘を称え、町の人全員で「博多祝い唄」を大合唱。私はかつてこんなに力強い歌を聞いたことがない。まるで地響きがするかのよう。
とてつもなくソウルフル。ゆさぶられる。
山傘に賭ける博多男のことを「山のぼせ」というそうです。
山のぼせにとっては、この時のために残りの1年間があるのだそうです。
いつかまた、山傘を見に博多に行きたい。
祭りっていいものですね。
日本各地の他のお祭にも興味が湧いてきた。
いいお祭りをご存知の方、教えてください。
東北の方にも行ってみたいな。
祇園山傘公式HP↓
http://www.nakasu.org/yama_top.html