暮らしをいつくしむ

長くも短い夏休みが終わり、2013/14シーズンが開幕しました。
日本を離れるのが寂しいという気持ちに支配されていたけれど、
ウィーンはやっぱり、自分が住みたくて移り住んだ街。
空港から街にでる電車の車窓から、のどかな田園風景を見ていると、
心が穏やかに、落ち着くのが感じられて。
帰る国がふたつあるって、素敵なことかもしれませんね。
さて、ウィーンに着いた次の日から、元気に仕事をしています。
東から西に来る時は、時差ボケは楽ですね。
普段は苦手な早起きができるのが嬉しい(笑)
先々週の土曜日、仕事が休みだったので、
歌劇場のグスタフマーラーザールでおこなわれた、
ウィーンフィル室内楽コンサートを聴いてきました。
$こころの音色
普段は、劇場のロビーとして使われているこの空間、
午前中の爽やかな光のなか、私の大好きなチェリスト達による、
チェロクァルテットの美しい音色に包まれて。
とても美しい時間でした。
その日は、夜の「トリスタンとイゾルデ」を観に、また客席へ。
ディレクションロジェに座ったら、そこに総監督が。
「おいで!」と連れていかれた先は総監督のお隣席。劇場のど真ん中!
オペラをこの席で観るのは初めてです。贅沢!
今年に入ってから、トリスタンとイゾルデはもう5回観ています。
すっかりハマっていますね。自分がワーグナーにハマる日が来ようとは!
そして、ある休日、劇場の友人に誘われ、
ウィーン近郊の山の家に連れていってもらいました。
清々しい、山の空気。
$こころの音色
美しい秋の夕焼け。空が高い。
$こころの音色
ウィーンにきて二年。
私、こんな風に暮らしを楽しむ余裕がなかったな、と改めて。
仕事のことばかり考えていて、家もプライベートもどうでもいいや、と思っていたところがありました。
休日にでかけることも、滅多にありませんでした。
でも、それって人生をサボっているみたいで。
やっぱり丁寧に暮らしをいつくしんで、楽しまなきゃな、と。
友人の暮らしぶりをかいま見せてもらって、豊かさを教わった気がしました。
そんなわけで、今シーズンの目標を「暮らしを楽しむこと」に決めた私は、
さっそく部屋の模様替えを敢行(単純!)
まずは、ずっと気になっていた、リビングのソファー周りの模様替えを。
今までの私の部屋は、女子の部屋だと思えないほど、飾り気もなく殺風景!
こちら、ビフォー画像↓
$こころの音色
生地を買って来て、ソファーカバーとクッションカバーを手作りしました。
部屋の印象が少し明るくなったかな。
$こころの音色
ちなみにこの生地は、カーテンとして売られていたものを解体したもの(笑)
家にはミシンがなくて、手縫い命な私としては、
少しでも縫う部分が少ない方が楽だと思っての選択です^^;
壁は、お気に入りの写真をモノクロでプリントアウトして、ギャラリー風に。
こころの音色
こころの音色
ただ、この壁は大きめのファブリックパネルにするか悩み中。
$こころの音色
どっちがいいかなぁ。。
ちなみに、夜は間接照明をあてて、こんな感じに。
$こころの音色
今まで、海外から友人や家族が泊りにくることはあっても、
ウィーンの友人を家に招く、ということがなかったのですが、
今シーズンは、家でパーティー&部屋飲みなんかもしたいな♡と妄想を膨らませております。
先日は、ウィーン郊外のアウトレットに行き、ベルンドルフ製のカトラリーセット(とグッチのブーツ笑)を買ってきました。妄想が広がります!!
お友達のみなさん、是非遊びにきてね。
暮らしをいつくしみ、味わいつくします!

ヌレエフガラとシンデレラシューズ

2012/13 シーズン、ウィーン国立歌劇場での最後の公演、
「ヌレエフガラ2013」が終演しました。
【一部】ラシルフィード、白鳥の湖、マイヤリンク、ヴァスラフ
【二部】シルヴィア、ディアナとアクテオン、眠れる森の美女、アポロ
【三部】ライモンダ全三幕
という構成でした。
グランドフィナーレ。
$こころの音色
今年は、私も客席で堪能。
オケピで演奏するのも勿論素敵だけど、プレッシャーなく公演を楽しめるのもとても素敵(笑)
どの演目もそれぞれ味わい深かったのですが、やはり、パリオペラ座からのゲスト、オレリーデュポンとマニュエルルグリ監督の「シルヴィア」は別格でした。
この時間を永遠に切りとりたい、と。
バレエは儚い。いろんな意味で。
だけど、だからこそ、その一瞬がかけがえないものなのだと。
終演後は、恒例の舞台裏でのパーティー。
シーズン終了にあたり、昇格者も発表され、華やかなものになりました。
私は、今回は、ずっとオケの皆さんとテーブルを共にさせて頂きました。
一緒に演奏しているけれど、なかなかゆっくり話す機会がない方々と。
あれですね。やっぱり音楽家はダンサーより飲みますね(笑)
劇場が閉まる夜中1時までずっとみんなで飲んでました。楽しかった!
こちら、いつも朗らかなアメリカ人指揮者のケヴィンと。
ドンキホーテ公演から、まる一ヶ月ご一緒しました。
今度はいつお会いできるかな。
$こころの音色
そして、ボスと。
$こころの音色
1シーズンありがとうございました!!
ウィーンでの2012/13シーズンを終えて、嬉しいような寂しいような。
なんて感慨に浸っている暇もなく、明日からウィーン国立バレエ団はパリに旅立ちます。
パリシャトレ座で7月4日~27日まで、21公演上演してきます。
公式サイトはこちら
パリに仕事で一ヶ月滞在できるのは嬉しいけど、ピアニストも4人中2人(一ヶ月参加するのは私だけ)だし、公演数は多いし、ハードな日々になることが予想されます。。
だけど、この得がたい経験を、思いっきり満喫し、全力を尽くしてこようと思います。
話は変わりますが、最近、初めてジミーチュウの靴を買いました。
キラキラグリッターのシューズ、履くとシンデレラのガラスの靴みたいで、ほんとにきれい。
$こころの音色
靴は芸術品、そう思います。凛としていて美しくて、心が豊かになれるもの。
この靴を初めてはいて、このヌレエフガラに出かけました。
「新しい靴を初めて履く日に素敵な場所にでかけると、その後もずっと、靴が素敵な場所に連れていってくれる」というジンクスを信じているから。私のシンデレラシューズ、これからも素敵なところにたくさん連れていってね!!
もちろん、パリにも持っていきますよ♡

シーズン終盤

早いもので、あと3日で、ウィーン国立歌劇場2012/13シーズンが終わろうとしています。
今シーズン、私はピアノコンチェルトを抱えていたこともあり、
9月~3月までは脇目もふらずに仕事三昧(あ、舞踏会だけは楽しみました!笑)、
コンチェルトが終わってからは、若干抜け殻気味になりつつも、
「ドンキホテーテ」公演のピアニストリーダーになり、
初めてのグランドバレエの通し稽古を弾く機会を頂き、充実した日々を送ってきました。
ドンキの稽古はとにかくエネルギーが要求されるので、音量に自信のない私が張り切った結果、
左手親指の爪がはがれるというアクシデントも…(涙)
が、それもほぼ治り、毎日ドキドキしていた稽古も、回を重ねるごとに慣れてきて、
無事、ウィーンでの今シーズン、ドンキホーテ6公演を終えることができました。
ドンキの稽古中、ちょっとした事件があり、(今思えばそこまで大したことでもないのに)シクシク数時間、数十時間泣き続け、もうバレエピアニストを続けられないかも、と落ち込んだことがありました。が、その時を境に何かが変わったような…。そのヤマを越えたことで、楽に弾けるようになったのです。
プロフェッショナルの仕事人として、自信を持っていなければいけないような年齢ではあるのですが、
私はどうもいつもギリギリで生きているようなところがあります。
たまに、自分のピアノの下手さ加減に嫌気がさして、「どうして生まれてきてしまったのか」などと落ち込むのです。それを、このドンキ公演の主役を踊ったダンサーさんに漏らすと、、「それ、私もよく思う。自分の写真も映像も見るのが嫌」って。。あんなになんでもできて、いつも輝いている彼女ですら、葛藤を抱えつつ頑張っているのかと思うと、驚きつつ、勇気を貰った気がしました。
落ち込んで凹んでいる暇があれば、どうすれば前に進めるかを考えよう。
さて、実は、このドンキホーテ公演。
私が初めてウィーン国立バレエ団を訪れた2011年2月14日、
稽古場で、プレミエ(初演)前の通し稽古が行われていて、私はそれを見せてもらったのです。
衣裳をつけての熱気のこもった稽古、ブルーのジャージを着て全体に目を配る監督。
ピアニストもとても素晴らしく、その全てを昨日のことのように憶えています。
(他の2名のピアニスト氏と共に稽古を見せて頂いたあの時の感じ、忘れられません。
その時、初めてお会いしたのに、もう4人ファミリーみたいな感じで空気が馴染んでいた…。
私はバレエピアニストとしてまだまだなのに、なんだかもう此処が居場所!という予感がしたのです。
今思えば、あの時の直感は正しかった。初めて会った日から今まで、他の3人のピアニストさんは、私にとってファミリー。幸せなことですね)
そんな思い出をもつドンキ公演、2年後には自分が責任者になって同じ場所で通し稽古を弾くなんて、
本当に、人生分からないものです。
さて、ウィーンでの今シーズン最終公演は、ヌレエフガラ。
私の担当は、シルフィード、眠れる森の美女、ライモンダ3幕、シルヴィア。
今年はパリオペラ座からの素晴らしいゲストがシルフィードとシルヴィアを踊りにいらっしゃるので、
その両作品を担当することができて、とても嬉しい!
毎日を、一瞬一瞬を、大切に大切に過ごしていきたいと思います。
今年は、指(爪)を痛めたこともあり、オケピに入らず、本番は客席で見せて頂くことになりました。
このヌレエフガラ、毎年一瞬でチケットが売り切れる超人気公演。
そして、ルグリ監督がここウィーン国立歌劇場で踊る、年に一度だけのステージなのです。
去年は、オケピに入っていて、全く観られなかったので、今年はとても楽しみ!
こちらが、ヌレエフガラの稽古映像です(私もライモンダを弾いています)。
↓ ↓ ↓
ヌレエフガラ
それからもうひとつ、先日、日本のNHKで放映された映像、
わがウィーン国立バレエ団、日本人ソリスト、木本全優さんと橋本清香さん夫妻のドキュメンタリーです。
お二人とも、ドンキホーテ公演に主演して、大きな成功をおさめられました。
本当に素晴らしい舞台でした。
日本の誇り、ウィーンの誇り、バレエ界の誇り!
素敵なドキュメンタリーなので、よろしければご覧下さいね。
↓ ↓ ↓
NHK ワールドWAVEトゥナイト