世界バレエフェスティバル

TOKYOのバレエファンが待ちに待った夏がやってきました。

三年に一度催される、世界バレエフェスティバル。

先週、Aプロ初日に行って参りました。

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世界中の旬のスターが一堂に会する舞台。

地球を小さく感じたり、同時に世界の凄さを思い知ったり。

祝福に満ちた、この華やかな祭典に酔いしれてきました。

日本のファンが待ちわびていました、叙情的なコジョカル。

圧倒的な存在感で、生き様を雄弁に語っていたギエム、

心弾む「海賊」を舞ったマリアネラ・ヌニエスとティアゴ・ソアレス。

観るたびに驚くべき成長を遂げる、日本の星・上野水香。

私の王子(笑)、ホセ・カレーニョ。

素晴らしい表現力でマノンを生きたセミオノワ。

そしてそして、今回、惚れ直したのが、タマラ・ロホ!!!

彼女の為に振付けられたコンテンポラリーは、

美しく、凛々しく、儚く、壊れそうでありながら、生命力に満ちていて・・・、

タマラの踊りに心酔し、また、大きな共感を覚えました。

私も、彼女のような女性になりたい・・・。

それにしても、内なる声を表現できる力があること、

そして、それを引き出してくれる振付家がいること、

本当に素晴らしいことですよね。

そんなこんなで、4時間半という長丁場の舞台のしょっぱなからヒートアップした私は、

最後には拍手疲れ・感動疲れでヘロヘロではありましたが(笑)、

世界の頂点に君臨するダンサーたちから貰った栄養は、

ちゃんと私の血肉になっていくことでしょう。

夏になると毎年、世界じゅうからバレエ関係者が東京に集まってきます。

バレエピアニストは息も絶え絶えになりながら、あちこち飛び回って仕事をするのですが。

そんな大変な時期だからこそ、得るものも大きかった気がします。

バレエ三昧の夏、後半戦も頑張ります!!

「エスプリ」とは

昨夜観た、新国立劇場バレエ団「コッペリア」公演。

主役キャストは、タマラロホ、ホセカレーニョ、ルイジボニーノ。

なんとも豪華なこのキャスト。

本当に贅沢です。

特に、タマラロホ、ルイジボニーノのお二方の踊りは、

なんとも小粋で、繊細でオシャレ。

これぞ、ローランプティだなぁ、とうっとりしました。

ローランプティの振付は、ともすると、ただ可愛く楽しいだけの踊りになってしまうのですが、

うまいダンサーが踊ると、振付の魅力が輝きます。

なんというか、エスプリに溢れているんですよね。

はて、エスプリとは。

タマラさんとルイジさんの踊りを観ていて、こんなことを思いました。

エスプリを定義づけるのは難しくとも、「エスプリ」に必要な要素なら、いくつか挙げることができそうです。

知性、洗練、勇気、色気、洒落っ気、ユーモア、余裕、間合い、

そして、愛情・・・。

なんというか、大人の魅力なんですよね。

日本人が体得するには、ちょっと難しい、「エスプリ」。

ローランプティの作品には、そういったエスプリ精神が溢れているのだと思いますが、

お二方の踊りからは、それらの要素が美しくブレンドされて、こちらに漂ってきました。

ホセさんも、本当に素晴らしく、大好きなダンサーなのですが、

彼は彼色だったかもしれません。。

でも、それがまた、素敵だったのですけれどね^^

この作品の中で、私が一番好きなシーン。
それは、ルイジボニーノさん演じるコッペリウスが、

人形のコッペリアとワルツを踊るシーンです。

本当に美しく、楽しく、夢溢れる踊りでありながら、ちょっぴり切ないシーンです。

片想いの男性のロマン・・・そのようなものを感じてしまいます。

そして、その直後、スワニルダが人形に扮してでてくるところで、アッと息を呑みました。

タマラさん、コッペリアの人形に本当にそっくり!!!

体型や顔のかたちも元々似ているかもしれませんが、佇まいがそっくり!

少しずつ動き出すところも、まさに人形のようで、驚きました。

タマラさんの本拠地である、英国ロイヤルバレエのオペラハウスがあるコベントガーデンでは、

常に人でにぎわっていて、芸人達が愉快なストリートパフォーマンスを披露しています。

そこで人気だったのが、全身を銅色に塗って銅像のフリをしているパフォーマー。

本当の銅像?と思うと、少しずつ動くんですよね。

タマラさん、ストリートパフォーマーになれます。

もしかしてコベントガーデンで研究されました?もうデビュー済み?(笑)

さすが、演技派ですよね。

本当に楽しませてもらい、普段はあまり言わない「ブラボー」を何度も叫んでしまいました(笑)

ゲストのタマラさん、ホセさん、ルイジボニーノさん、

お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

また是非是非、新国立劇場にいらしてくださいね。

ロミオとジュリエット

もう一ヶ月も前のことですが、、

デンマークロイヤルバレエ「ロミオとジュリエット」日本公演を観にいきました。

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振付は、ジョン・ノイマイヤー。

私が、初めて観た「ロミジュリ」は、マクミラン版で、アンヘルコレーラ&アレッサンドラフェリによるものでした。

その印象が強すぎて、永いこと、マクミラン版以外は、受けつけなかったのですが…、

最近、初めて生でノイマイヤー作品を観て、今の私にはとてもしっくりくると感じました。

期待に胸をふくらませて観たノイマイヤー版「ロミオとジュリエット」は、素晴らしいものでした。

ジュリエット役のスザンネグリンデルは、登場シーンから観客をグッと惹きつけ、

ほとばしる感情のままに、瑞々しい青春を駆け抜ける様が圧巻でした。

照明も素晴らしく、光と影が効果的に使われており、

まるで、レンブラントの絵画のように、美しい陰影を生み出していました。

光と影・・・

ロミオとジュリエットのような恋の出逢いは、強烈な光ですが、

光が強すぎるがゆえに、深い影が生まれて、

結果、破滅してしまう。

そんな二人の恋を、暗示しているようにも思いました。

一気に燃え上がる恋は、尊く素晴らしいものですが、

いったんねかせて「時」を待ったり、相手やまわりを尊重することができたら、

恋も長く続くのかもしれませんね。

そういえば、昨日友人たちと飲んでいて、寅さんの話になったのです。

寅さんは、自らの恋のことをこう言います。

「道端にキレイな花が咲いていたら、それを摘んでしまいたいと思うのではなく、

自分のものにせず、そのままそっと見ていたい」と。

大人になった今、こういうところに美学が宿っているのだということも、

よく分かるようになりましたね~(笑)

その一方で、ロミオとジュリエットのように、ただ心のままに突き進む恋も、

本当に尊いものだと思いますが。

ジゼル然り、シンデレラ然り、ロミオとジュリエット然り、

素晴らしい芸術に触れるにつけ、

人生は、美しく素晴らしいものだなぁと思わされます。

芸術の本質って、きっとそういうところにあるのでしょうね。

音楽とともに