夢と希望を打ち上げる、ウィーンの年越

ウィーンの年越は盛り上がる。
大晦日、ウィーン国立歌劇場のこうもり公演は、正装の紳士淑女で溢れかえり、舞台も客席も夢のような世界が繰り広げられていた。
劇場横のカラヤン広場では、大スクリーンによるライブ中継も。
二幕、オルロフスキー公のディナーの特別ゲストに、アグネスバルツァが登場して、カルメンともう一曲(曲名分からず)歌い、客席も大喜び。その興奮のままに、乾杯の歌、なのである。
ああ、これぞウィーン。
ウィーンに住んでみて分かったのだけど、こうもりは、隅々までウィーンらしいディテールに溢れていること。
台詞の掛け合いや、この馬鹿馬鹿しさも含め、ウィーンの文化なのだ。
三幕、フロッシュ看守が監獄のカレンダーを31から32にめくったのをちゃんと確認(これを見ないと年越せない!笑)してから、私は劇場をそっと抜けて友人とのディナーに向かった。
年越蕎麦を食べず、ホテルでシャンパン片手にニューイヤーイヴディナーを頂くなんて、初めての経験。
私たちは、街全体が花火大会になるニューイヤーの瞬間を味わうべく、プラーター公園近くの高層階にある友人のオフィスに急遽向かうことに。
この日、ウィーンでは誰でも何処でも打ち上げ花火を上げられるので、街じゅうが花火大会に。なんて派手なお正月!

photo:05



去年初めて味わった時はあまりの音と光におののき、ウィーン大空襲でも起こったか、と思ったほど。

photo:04



花火に埋れるプラーターの観覧車。

photo:02


photo:03



煙だらけで、もはやよく見えない(笑)
日本の静謐なお正月も好きだけど、ど派手に祝福するウィーンの年越も楽しい。夢と希望がある。
2013年、すべての人にとって素晴らしい年になりますように。
Alles Güte zum Neujahr !!!

今年のクリスマス

皆様、クリスマスをいかが過ごされましたか?
オーストリアでは年明け1月6日まではクリスマスを祝うので、
街中も家のなかも、まだまだファンタジックなクリスマスのムードに包まれています。
今年のクリスマスの様子を少しお伝えしたいと思います。
先週、劇場全体のクリスマスパーティーがありました。
場所は劇場のロビーです。
そこでクリスマスソングを演奏してくれたのは、我らが国立歌劇場管弦楽団金管隊の皆様。
$こころの音色
まさか、ウィーンフィルの演奏バックに昼酒飲む日が来ようとは!
しかも、リハーサルの合間に監督とワインで乾杯(笑)
このパーティーは毎年恒例なのですが、映画の中にいるように素敵なパーティーでした。
そして、街なかのあちこちで開かれているクリスマスマーケット。
同じ劇場で働く合唱コレペティの吉澤京子さんが、
仕事の合間にカールス教会のクリスマスマーケットに誘ってくれました。
$こころの音色
彼女とは同じシーズンから働き始めた、いってみれば同期。
ことあるごとに二人でごはんを食べたり、お茶やお酒を飲んだり。
ウィーン在住歴が長い彼女に、私はいつもお世話になっていて。
大好きなお友達。彼女がいてくれるお陰で、どれだけ私のウィーン生活が豊かになっているだろう。
いつもありがとう。
さて、ウィーンでは12月初旬から街じゅうにもみの木市が開かれます。聞くところによると、市内で300箇所以上も!
こちらでクリスマスツリーといえば、生のもみの木を飾ることが多いみたい。
私も小さいもみの木を買って、飾りつけてみました。
70cmくらいの大きさで15ユーロでした。
$こころの音色
もみの木からは甘い香りが漂ってきて、部屋のなかで森林浴しているかのよう。
2m以上の大きなツリーもたくさん売られていました。
来年はもう少し大きいのを飾れたらいいな♪
そして、クリスマスイヴには、アメリカ人の同僚がディナーにご招待してくださいました。
$こころの音色
 
夢のように美しい同僚宅。クリスマス映画の中にいるみたい。
$こころの音色
ディナーのテーブルはこちら。
$こころの音色
デザートタイム。
$こころの音色
そして、プレゼント交換。
クリスマスツリーの下に宛名を書いたプレゼントを皆が置いて、
それを一人一人に渡していき、皆でワイワイ、プレゼントを開けるのがこちら流。
$こころの音色
私は同僚ご夫婦以外の方々とは初対面だったのですが、
それにもかかわらず、皆さん私にもプレゼントを用意してくれていました。
同僚からのプレゼントのひとつに、マクミラン版マノンのDVDが!
実は、年明けすぐにマノン公演が開幕するのですが、
1人だけマノンを弾いたことがない私の為を思って、同僚がプレゼントしてくれたのです。優しい。
$こころの音色
優しい同僚と。
$こころの音色
イヴに集まった皆で。私以外はみんなアメリカ人。
$こころの音色
次の日、くるみわり人形昼夜公演があったのですが、
まったり夜更けまで語っていました。
仕事も大事だけど、プライベートも大事(笑)
素敵なイヴだったな~。ご縁に感謝。

ドイツ語学校

早いもので、もう8月になりましたね。
バカンスが始まって1ヶ月。
ウィーンにとどまっている同僚はほとんどいないなか、
私は毎日ここで何をしていたかというと、語学学校に通っていました。
去年5月末にウィーン国立歌劇場からオファーを頂いてから渡欧までの3ヶ月弱、それはもう怒濤のような慌ただしい日々で、言葉を覚える暇はどこにもなく、「もういい!ドイツ語は現地入りしてからだ!」と、ほとんど挨拶しかできぬままにウィーン入りしてしまったのです。
ウィーンに来たら来たで、今度は仕事をこなすのに精一杯。初めての海外暮らしで、英語で仕事をするのすらやっとこさ。ここのカンパニーはドイツ語を母国語とするダンサーは1割いるかいないかくらいで、英語(かロシア語)を話す人が多いので、一年たってもドイツ語はあまり上達もせず。
でも。せっかくウィーンにいるなら、ウィーンなまりの粋な(田舎くさい笑)ドイツ語をモノにしたい。というわけで、バカンス返上、ようやく本腰を入れてドイツ語を勉強することにしたのです。
オペラ座の向かいにあるドイチュアカデミーで、10人のクラスで勉強。教科書とノートを広げて勉強するなんて、もう何年ぶりだろう。これが実に楽しかった。
ペンケースのファスナーをシュッと開ける音だったり、毎日数本の鉛筆を削って整えたり。ノートをいかに美しく解りやすく取るか工夫したり。予習復習したり。
もうこれは、失われた青春時代の再来。純粋な勉強の為の日々。
クラスメイトは、イラン、韓国、チリ、メキシコ、ロシア、コロンビア、ハンガリーの人たち。
人種のるつぼ。私から見ると、みんな結講優秀で、冠詞もぽんぽん答えられる。
自分のできなさ加減に落ち込むことはあっても、とてもいい刺激になりました。
先生にも恵まれました。私は二日目からは、先生に一番近い席を陣取り、解らないことはなんでも質問。なぜ?なぜ?をぶつけまくっていました。授業は、オールドイツ語で進められるので、もちろん難しいし、少し気を抜くと他の惑星での会話のように全く理解不能になるのだけれど、うんうん考えて前頭部が痛くなったりするのも心地よい痛み(笑)
ほんの一ヶ月足らずだったけど、我ながらこの進歩は凄かったと思う。ブンダバー語学学校!
ドイツ語、素敵な言葉だなと思います。もっと聞いていたいし、喋りたいと思う。
クラスメイトたちに「シノのドイツ語は、歌っているみたいに聞こえる」と言われて。
それは、褒め言葉なのか笑われているのか微妙なところだけど(笑)
ドイツ語を話すのが楽しくて。ああ、もっと話したい!笑
シーズンが始まってしまうと、仕事と勉強の両立は難しい。けれど、知る喜びを実りにする為にも、前向きに頑張ろう。
そして8月。いよいよウィーンをあとにして、日本に旅立ちます。
その前にヘルシンキに立ち寄り、フィンランド国立バレエ団を訪ねてきます。
フィンランド国立バレエの、とっても素敵な日本人プリンシパルさんにお会いする、初北欧旅、楽しみ!!